映画『シン・ゴジラ』に関しインターネットの一部で「公式設定で第8形態まで存在する」という話がある。結論から言うとこれは完全にガセネタである。
ジ・アート・オブ・シンゴジラより
『第4形態は始まりにすぎない』第5形態…不死、無限再生、無限復活、口がなくなる
小型化ならびに有翼化、巨神兵のような姿に
地球を征服し終える第6形態…宇宙に適応
独立栄養生物となりガス欠すら克服、永久器官を持ち無尽蔵にエネルギーを作成可能第7形態…体内に宇宙を持つ、あらゆる元素を任意で製造し自分のものとし自在に肉体を作り替える
あらゆる宇宙環境に耐えられる
宇宙を完全に征服する第8形態…最終形態、宇宙の外側に出る(物理法則を超越する)
更なる上位存在となり神の次元に到達する
まずソースとされている『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』に第6第7第8形態に関する記述は一切存在していないし、そもそも劇中ラストカットで凍結されたゴジラの尻尾に発生した第5形態にはちゃんと口があり、上記の「第5形態には口がない」という記述とも矛盾している。
見ての通りしっかりと口がある。(非常に歯並びが良い。)
ソースとされている書籍にそのような記述がないでのこの時点でデマと言って終わりにしても良いが、せっかくなので何故そんなデマが出てきたかたどって見ようと思う。
まず、この第6形態以降に関する話を調べると細かい差異はあれど同じような書き込みが繰り返し行われていることがわかる。
1 :風吹けば名無し@無断転載禁止:2017/06/12(月) 17:45:21.09 id:u2xtccm60
第5形態
小型化・有翼化・群体化
細胞レベルで生きており滅却しないと倒せなくなる
感情と痛覚の喪失
ヤシオリ作戦を克服第6形態
永久機関の獲得、ガス欠の克服(自己でのエネルギー生成、無尽蔵の核融合、水と空気が必須でなくなる)
口と牙の退化&消滅
大気圏を突破して宇宙に第7形態
体内に宇宙を宿す
あらゆる物質や元素を合成して作り出し、自分のものにするため事実上無敵に
宇宙のあらゆる環境に適応
これよりさらに進化する可能性ありソースは日経サイエンス
ついに究極の怪獣やな
1 :風吹けば名無し@無断転載禁止:2017/04/12(水) 02:22:07.68 id:EOrxhE/Nd
・無限に分裂し地球全体に繁殖
・不老不死、たとえ破片にしても破片からゴジラが生まれる
・空気や水すら必要でなくなり、自らエネルギーを生成することが可能に
・口や牙が退化し消滅。ヤシオリ作戦ももう通じない
・無限に核融合が可能になりエネルギー切れを完全に克服、空を飛んで宇宙に進出し別天体に移動
・別天体のような過酷な環境にも耐えられる
・感情もなく痛みを感じない
・第4形態はまだ赤ちゃんの状態にすぎず、これからどんどん進化する
・完全に倒すには細胞レベルで滅却する必要があるソース…ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ
シン・ゴジラGENERATION
日経サイエンス12月号シン・ゴジラの第6形態の全貌が明らかに、これぞマジで最強ゴジラ怪獣wwwwwwwwwwwww [無断転載禁止]©2ch.net
1 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/02/17(金) 00:38:53.018 id:tMmhpr9Zd
・無限に分裂し地球全体に繁殖
・不老不死
・空気や水すら必要でなくなり自らエネルギーを生成することが可能に
・口や牙が退化しなくなる。ヤシオリ作戦ももう通じない
・無限に核融合が可能になり、宇宙に進出し別天体に移動
・別天体のような過酷な環境にも耐えられる
・第4形態はまだ赤ちゃんの状態にすぎず、これからどんどん進化する
もうウルトラ怪獣にも勝てますねこれは……
2 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/02/17(金) 00:39:40.490 id:UaAFGMy80
ソースは日経サイエンス12月号に東宝監修でシンゴジラの製作に協力した科学者たちが書いた考察や設定
エネルギー切れもなくさらにパワーアップ、不老不死、無限分裂し延々と進化する正直ほとんどのウルトラ怪獣倒せるわ
Googleの期間指定検索を使って初出と思われる書き込みを探すと上の2017年2月17日の5chの書き込みまでさかのぼる事ができ、この時点では「日経サイエンス」がソースとされている。
ここで言う「日経サイエンス」とは『日経サイエンス2016年12月号』の特集:シン・ゴジラの科学のことであろう。
この日経サイエンスのシン・ゴジラ特集には確かに上で語られているようなゴジラ第5形態以降に関する話が出てくる。
「次の第5形態では鋭い歯も頑強な顎もさらには口も失われているかもしれない」(日経サイエンス社発行『日経サイエンス2016年12月号』p.52)
「恐竜のような姿の第4形態から、人類や鳥類のような小型化・群体化した第5形態へ、さらに進んで未知の第6形態へと変態を遂げて宇宙に飛び出し、声明を宿らせる新たな天体を目指して飛散していく、というようなシナリオを描けるかもしれない。」(同・p.53)
しかし、これらは映画『シン・ゴジラ』に関して様々な分野の研究者がその専門知識をもって語るという特集であり、公式設定でもなんでもない。確かにこの特集に名を連ねる長沼毅氏や松本義久氏は『シン・ゴジラ』に取材協力としてクレジットされているがあくまでも取材協力であり、この特集の中でも
松本義久「新元素にリアリティを持たせるため、「これまで知られていないエネルギー値のガンマ線が検出された」という筋立てをアドバイスした。」(同p.49)
とある通りあくまでも取材協力・アドバイザーの立場である。長沼毅氏も「ゴジラの体長が118.5 mなのは鎌倉幕府の成立年にかけたものではないだろうか(同・p.47)」と語っているレベルであり、とてもではないがゴジラの設定に深く関わる者の発言とは思えない。*1
シン・ゴジラ第6形態以降の噂話は日経サイエンスの特集の内容を「公式設定」と称し、歪め、語られるうちに尾ひれが付いていったものというのが実態であろう。
まとめ
・ネットで語られるようなシン・ゴジラ第6形態以降の話はソースとされている『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』には存在しない
・日経サイエンス2016年12月号の特集『シン・ゴジラの科学』に似通った記述が存在するがこれは公式設定とは言えないものである
・上記の特集の内容を「公式設定」と称した2017年2月の書き込みが第6形態以降の話の確認できるネット上での初出であり、そこに尾ひれが付いていったものが『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』をソースとする「ゴジラ第8形態」というデマである
以上。