『デス・ストランディング』プレイ日記③ 6日目

 前回に引き続き備忘録です。

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本日はジャンク屋のUCA加盟からK4南配送センターからクレーターに走るまで(Episode3長くないですか?)

 

 

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『DEATH STRANDING』より
  • ミュールの拠点に乗り込んでいって全員ぶん殴って資材を奪ってトラックへの詰め込みをあーでもないこーでもないとしているのが楽しくてあまりゲームが進行しない。
  • そうやって蛮族プレイをしていてミュールのトラックが物足りなくなってくるタイミングでBRIDGESのトラック(荷物が無限に詰め込める)が使えるようになるあたりこのゲーム気持ちいいですね。
  • ゲームにおいてそれまで行けなかったところに行けるようになるとか、できなかったことができるようになるというのがプレイヤーへの報酬となり面白さを感じる要素の一つだと思うんですが、このゲームはそれが絶妙。
  • カイラルアーティストさんを運んだんですが、彼女コミュニケーションボタンのサムの声には反応してもサムの声に対して帰ってくる「俺もサムだ!」みたいなやまびこは聞こえてなさそうなんですよね。プレイヤーにしか聞こえていないということでなにか伏線かなとか思ったり。
  • 伏線というとサムが他にも居ることを匂わせるような内容のメールが度々届くのも気になる。後々なんかあるのか
  • どうでもいいのですが生身の人間を運んでいるときは立ちションできないことにまで考えが及ばず、サムの膀胱が非常に窮地に追い込まれました。
  • 再開した二人に気を使ってスッと居なくなるノーマン・リーダス。(笑う)

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『DEATH STRANDING』より

 

  • 「映画監督」って名前の時点で映画監督のカメオかなと思ったらジョーダン・ヴォート=ロバーツだった。(メタルギアの映画化実現するといいね……。)
  • 映画監督のシェルター付近、アア溶岩が広がってて地面からは蒸気が出ていて火山地帯ぽく、温泉もあったりするかな?と思ったらありました。(このゲーム、他にもパホイホイ溶岩や柱状節理があったりと地学的に見どころが多い気がするので地形や地質に関して専門家の解説が欲しくなる。)

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    『DEATH STRANDING』より
  • この顔である。(わたしも温泉行きたい……。)
  • 熱核爆弾、MGS1の爆弾と同じノリかと思ってそのへんに捨てて走り去ろうとしたら普通にゲームオーバーになりました。
  • というか小島監督って水樹奈々さんになにか恨みでもあるんですか?(1日ぶり3回目)(ヒッグス、許せねえ……!!!)

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『DEATH STRANDING』より

『デス・ストランディング』プレイ日記② 3,4,5日目

 前回に引き続きプレイ日記というか個人的な備忘録です。

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3日開いてるあたり早くも飽きてきた感がありますが、まあ、とりあえず……。

 今回はepisode3途中の時雨農場まで。

 

 

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『DEATH STRANDING』より

 

  • 相変わらずBBを介して見るフラッシュバックマッツがヤバい。(サンタクロースマッツ・ミケルセン何?)
  • リサの入ってるカプセルがどう見ても棺にしか見えないけどBBポッドもよく見たら同じような形してるんですよね……。
  • プレッパーズからフラジャイルに関するありとあらゆる噂を聞かされ、フラジャイル本人が「私に関する噂はすべて真実であり、同時嘘でもある」みたいなことを言うのポスト・トゥルースぽいなあなど
  • というか小島監督水樹奈々さんになにか恨みでもあるんですか?🚁👧💣💥💥💥(毎回毎回ボム兵を持ち込まないで😭😭😭)
  • 送られてくるメールがどれもこれも限界絵文字おじさんなのって、あの世界では「絵文字の無い文字だけのメールは味気なく冷たい印象を相手に与えてしまうのでなるべく沢山絵文字を使って文字だけでは伝わらない感情を相手に伝えましょう!」みたいなマナーが一般化ないし一種の規範と化してるとかなんですかね?「いいね」による互恵的利他主義的な社会が形成されていることを考えると、あの限界絵文字メールもそういった意味合いがあるのかなあと
  • おじさんと言うと今の所出てくる女性がアメリとフラジャイルとママーと時雨農場の環境学者くらいで非常に少ない気がするんですがあの世界のジェンダー観ってどうなってるんでしょうか?(デスストの元ネタのひとつであろう『ポストマン』はジェンダーが一つのテーマになっていたわけですが……)
  • クラフトマンから「サムの影響でDOOMSでも帰還者でもない一般人のポーターがBTを相手にしだした」みたいなメールが来ましたが危ないしそれで人が死んだり爆発しても責任取れないからやめて……みたいな気持ちに
  • ミュールの拠点に乗り込んでいって全員ボコボコにしてトラック奪って荷物も搔っ攫っていくとどっちが異常なのかわからなくなってくる。
  • というか配達依存症ってプレイヤーのことも言ってるよね?ツイッターでフォロワーさんが言ってましたがまさに「配達を楽しんでいるのだよ貴様は」という感じが
  • 「シンギュラリティは起きなかった。AIは結局死を理解できなかった」って台詞でメタルギアサヴァイブを思い出してフフってなりました。
  • ママーが「カイラル通信を繋いだところは理論上ビーチと近くなる。それはカイラル濃度にも影響を与える」みたいなことを言っていましたがこれ本当に繋いでいって大丈夫なんですか?
  • 「何かよく分からないが便利な面があるのでとりあえず利用してるけど、それによって敵が出てきたりもする」という点でサヴァイブのクバンエナジーとカイラル物質は近いなあとも思ったり。どっちもワープとかに使えるし

  • サヴァイブを遊んだときにこういうことを思ったのでなおさらDSとサヴァイブを比べてしまうみたいなところがあり 
  • まあ、でもサヴァイブの「アセットが使い回しで異世界がアフガンの荒野にしか見えない」という誰もが考えるでもあろうツッコミに関して作中にちゃんと説明が用意されてたのは素直に感心したし、その部分は好きだよ、その部分は……。
  • あとなんかデス・ストランディングアメリカの風景はアイスランドを参考にしてる気がしますね。監督アイスランド行ったりしてたし。

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    『DEATH STRANDING』より

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    『DEATH STRANDING』より


  • 試しに「アイスランド 柱状節理」なんかで画像検索して上記のスクショと比べてみてください。
  • アイスランドのブラックサンドビーチという黒い砂の砂浜もDS作中の「ビーチ」そっくりな気がしますし、ギャオというアイスランド特有の地形に近いものもゲーム中で確認できます。原初の地球みたいな風景としてアイスランドを参考にしたというのは十分ありそうな気がします。

 

金土日の3日間で20時間くらいは遊んでやろうと思っていたのですが今の所5日でトータル18時間くらいのプレイ時間です。なんかこのゲーム「コントローラーを握るタイプの肉体労働」という感じで遊んでて疲れるんですよね。つまらないということではないんですが。なのでどうも休憩を挟んで遊びがちであまりプレイ時間が伸びない感じです。まあ、ゆったりやっていきます。

 

『デス・ストランディング』プレイ日記① 1日目 2日目

あとで見返すと面白いかなと思い、プレイ中に思ったこと考えたことをクリアするまで逐一箇条書きしておくことにしました。飽きるまで続けますがすぐ飽きるような気もします。

とりあえずポートノットシティまでたどり着いたのでそこまでの内容込みです。

 

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『DEATH STRANDING』より

 

  • 案の定、デッドマンとダイハードマンが超絶怪しい。特にダイハードマンはプレイ前に想像していた3万倍は胡散臭いので一周回って嬉しくなってしまった。
  • 行く先々で出会う人が「自分は第一次遠征隊の後発部隊だからアメリを見ていない」と言うのが引っかかる。ゲームを開始してからサムが見るのもカイラル通信を介してだけだし、デッドマン&ダイハードマンコンビの怪しさも相まってアメリが本当に居るのか疑ってしまう。(MGS2ローズマリーのパターンなのでは?)
  • BRIDGESの面々が怪しい一方で明らかにBBとマッツ・ミケルセンに感情移入するように誘導されているのを感じる。(踊ってるマッツ is 何?)マッツ・ミケルセンはきっとパスみたいに酷いことになると思う。
  • 合衆国の復興とかどうでもいいのでこのままノーマン・リーダスマッツ・ミケルセンとBBの3人で温泉旅行にでも行って欲しい。あとは3人で屋形船に乗ってすき焼き食べたりとか……
  • 「カイラル通信をつないだ結果カイラル濃度が上昇してカイラル結晶が多く取れるようになったけど、大した上昇じゃないから大丈夫」みたいなこと言われたけどホントに?(あとで繋いだカイラルネットワークを介してBTがいっぱい出てきたりしない?大丈夫?)
  • プライベートルームでノーマン・リーダスにウインクされるたびに嬉しくなってしまう。(ずるいと思う)
  • 苦労して荷物を運び、カイラル通信を繋いで、外に出たらさっきまで何もなかった場所が一面キノコだらけになっていて笑ってしまった。みんな立ちションしすぎ。(その後自分もした)
  • あまり深く考えないでそのへんに置いてある梯子に登ったら梯子の登った先が足場の不安定な急斜面の岩場で登りきった途端下まで転げ落ちていったので笑ってしまった。あの梯子を置いた奴後で泣かす。
  • ポートノットシティに行くまでの山越えをバイクで行ったがこれは完全に失敗だった。岩場をウィリーとジャンプで無理やり進んでると今自分は何をやっているのかわからなくなってくるし、絶対に歩いたほうが楽。あと山を越え街が見えて曲が流れる演出をバイクで走り抜けてしまったのももったいない気がした。
  • ミュールを倒すのに使う道具が「ストランド」という名前の「なわ」なの笑ってしまう。やっぱり安部公房の引用はミスリードというか悪意があると思う。
  • ミュールの配達依存症ってTwitterでの「いいね」や「RT」の承認欲しさにコンビニの冷凍庫に入って写真をアップしてしまうとかそういう感じのアレなんですかね?(よくわからない)
  • みんなカジュアルにオキシトシンジャンキーで笑う。絵文字だらけのメールはハイになってるんですかね?あと開発中にHIDEOがいきなり絵文字まみれのツイート初めたのは、これの前フリだったんですかね……。
  • UIが一部分かりづらい。とくにオプションボタンの長押しのアイコンを理解するのにだいぶ時間がかかってしまった。(一度理解さえしてしまえばそんなに気にはならなさそう)
  • オプションで「最新のセーブデータをロード」が一番上にあるの本当にやめて欲しい。焼却場近くでセーブしようとして間違えて押してしまい一から運び直しになった。
  • 文字小さすぎ。メールの文面とか本当に読みづらいし、ムービー開始時右上の場所の表示が小さすぎて読めない。小さいテレビでプレイしてる人は目を凝らしすぎて眼圧上がって目が破裂してしまわないか心配になるレベル。オプションで文字サイズ変更させて欲しい。
  • MGSVがやめるタイミングを失い延々と遊んでしまったのに対してDSはひと仕事終えるたびに30分から1時間くらい休憩を取りながら遊んでしまうようなところがあり、思いの外進んでいないかなという気がする。
  • 激しく人を選びそうなゲームですがまあ、自分はわりと楽しんで配達業務に勤しんでます。いまのところ

『デス・ストランディング』完全に理解した

 


総プレイ時間204863時間にてやっっっっっっっっっっっっっっっっっっと『DEATH STRANDING』クリアしました。文明崩壊後、ポストアポカリプスのアメリカを舞台に配達システムを復活させて東から西へのアメリカ開拓史をなぞりながらアメリカ再建を目指すというデイヴィッド・ブリンの『ポストマン』的な話であることはある程度予想していましたが、まさか『ポストマン』作中でも名前の上がる初代郵政長官ベンジャミン・フランクリンが印刷工見習いをしていた16歳当時、「サイレンス・ドゥーグッド夫人」と身分を偽りアメリカ最初期の新聞に記事を投稿していたエピソードをあげて「建国の父は合衆国だけじゃなくフェイクニュース創始者でもあった」とし、アメリゴ・ヴェスプッチのエピソードも踏まえて「アメリカ建国の歴史は嘘(ルビ:フィクション)で始まった」という話につなげ、BRIDGESのアメリカ再建の嘘とも絡めて語られるとは思いもよりませんでしたね。いやーしかしよく考えつく。クソでかいリンゼイ・ワグナー(本当にでかい)の足元で全裸のノーマン・リーダスマッツ・ミケルセンが組んず解れつ殴り合うラストバトルには大変手に汗握りましたし、そのあとのサムのピンチに際しシェルターという殻にこもっていたフラッパーズたちが自分の殻を破り駆けつけマッツ・ミケルセンを集団でボコボコにする展開には涙なしでは見れませんでした。繋がりって本当に良いものですね。また前作『METAL GEAR SOLID V』が言語SFと民族浄化というテーマにおいて小島秀夫から伊藤計劃への「俺ならこうする」という『虐殺器官』への返歌になっていたように、今作も大災禍後の世界の政治思想・形態という意味合いにおいて『ハーモニー』へのアンサーソングとなっているのも非常に素晴らしかったです。

 

 

 

 

 

……とここまで書いて普通に飽きました。デス・ストランディング楽しみですね。

ところで『The Art of Death Stranding』の日本語版って結局出ないんですか?

「つながり」って良い面ばかりじゃないよね。──『A HIDEO KOJIMA GAME』とテーマの話

いよいよ明日2019年11月8日、小島秀夫最新作『DEATH STRANDING』が発売される。今作のテーマは「つながり」らしい。

 

MGSシリーズでは1から4までは順に「GENE」、「MEME」、「SCENE」、「SENSE」、そしてPWでは「PEACE」が、Vでは「VOICE」と「RACE」がそれぞれテーマとなってきた。PW以降、メタルギアシリーズはこうした作品のテーマに対するアプローチの仕方を変化させた。このことは小島秀夫監督の口からも語られている。

 

反戦反核でずっとやってきましたが、これは僕の中で「こういうテーマで伝えたい」というものがあってやっていたことです。20数年続けてきましたが、なかなか世の中変わりませんよね。世界中で紛争が増えてテロも起きて…今の10代の子もあまり興味を持っている子は多くないと思いますし、どうしようかなと考えたんです。

映画では、悲惨なシーンを見せて「戦争はダメです」と伝える手法がありますが、映画でできることをゲームで伝えるというのは得策ではないと思い、「ピースウォーカー」からちょっと手法を変えたんです。

どうするかはプレイヤー自身に決めてほしい―「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」小島秀夫監督インタビュー

https://www.gamer.ne.jp/news/201403060003/ 

 

METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』ではプレイヤーはビッグボスとなり、自らの部隊を拡大していくことになる。ソリッド・スネークが不殺の道具として使っていた麻酔銃は拉致の道具となり、プレイヤーは最終的に自衛のため、抑止力として核兵器を持つに至る。作品のテーマは先に述べたように「PEACE」、平和である。「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」という警句の如く、平和ために軍拡し、核武装をすることをプレイヤーに体験させるのだ。(ジョン・ウィック3面白かったね……)MGSVに関して「結局ビッグボスが悪に落ちていない」という感想が発売当時あったが拉致と洗脳によって兵士を集め、戦場へ送り金を稼ぎ、武力を拡大し、最終的に核武装に至る集団はどう考えても悪だ。ビッグボスはPWの時点で十分真っ黒だった。

 

 続く『METAL GEAR SOLID V』では「VOICE」と「RACE(人種、民族)」がテーマだ。そこでプレイヤーに何をさせたかと言うと話す言葉だけで人を判断し”隔離施設”送りにするということだった。”民族浄化”のプロセスをプレイヤーに体験させているわけだが、1作目の「殺戮を楽しんでいるんだよ 貴様は」という台詞や3のザ・ソロー戦と違い手口が巧妙なのでそのことに気がつくかどうかはプレイヤー次第である。また、「RACE」には軍拡競争という意味もあったのかもしれない。

 

 

小島監督作品は時折「説教ゲー」と揶揄されるがPW以降は直接的に「戦争は駄目です」と説教するのではなく、プレイヤーに実際に戦争の仕組みを体験させ、そこで何を感じ取るかはプレイヤーの手に委ねるという形を取ってきた。その一つの到達点として核廃絶エンドがあったのだろう。

 

おそらく『DEATH STRANDING』も 「つながり」というテーマを称揚するだけの内容にはならないはずだ。現にサムは「つながり」を訴えるアメリたちを「カルトだ」と語る。そもそも棒と縄の比喩が度々引用されてきた安部公房の短編『なわ』は心中を持ちかけるろくでなしの父親を二人の姉妹が協力して「なわ」で絞め殺すお話だ。高校2年生の小島青年が読書感想文に書いたように「なわ」を「棒」として使う話であり、最後の4行は作品の「テーマ」と言うよりもシニカルな「落ち」であると見るべきだろう。

どうでもいいが『なわ』作中で「屑鉄の死体置場」の屑鉄に”スクラップ”なんてルビは振られていない。 どうやら現在に至る小島秀夫のルビ振り芸はこの当時からのものだったらしい。

 

そもそもなぜ人が「つながり」を求めるかと言えば、ホモ・サピエンスという種は集団でいることで生存性を高める戦略を取ってきた生き物だからだ。アメリの言うところの「寄り添ってお互いを補う生き物」である。大昔、文明が発達する前は集団を離れてひとり孤立することはいつ肉食動物などの天敵から襲われもおかしくない状況、つまるところ死を意味していた。なので熱いフライパンに触れると自然と手を引っ込め身を守るように、孤立という危機的状況を避けるためヒトは心理的な痛みとして孤独感というもの進化の過程で獲得したのだ。つまり「つながり」とは外敵から身を守り集団の生存性を高めるための武器であり、「つながり」を持った集団は「敵」と認識した相手に対してひたすらに暴力的になることがある。昨今のインターネットでのコミュニティの先鋭化やカルト化、ネットリンチなど思い当たる節はいくらでもあるだろう。 現在のインターネットのような伝達速度のあまり速い双方向の「つながり」は「なわ」ではなく「棒」であることは監督の口からも度々語られている。 

www.famitsu.com

 オンラインって、世界中の人が直接的につながりますよね。それで、匿名なのをいいことに、他人を心ない言葉で傷つけても何とも思わない人たちがいる。(中略)テクノロジーの進化によって世界中がリアルタイムでつながっているのに、何でそんなことばっかりしてんの……というのもあって。ネットに疲弊している人って、けっこういるじゃないですか。

 

インターネットは人々をつなげるだけではなく、社会の首を締め、最後には2つに分断してしまう力を持っている。一方で小島監督は手紙のやり取りのような時間差のある「つながり」はそうではないとしている。画面の向こう側にいるのが人であると考える前にクソみたいなリプライを送ってしまうSNSと違い手紙は時間的に距離があるので相手のことを想像せざるを得ないと。

 

いまから200年くらい前は電話もなかったので、遠方にいる人とのコミュニケーション手段は手紙ですよね。たとえば、異国の戦地にいる兵士が奥さんに手紙を書くとします。“元気にしてる? ここで死ぬかもしれないけど、まだがんばってるよ”と奥さんのことを思いながら書くでしょ? このコミュニケーションにはすごくタイムラグがあって、手紙は船に載せられて国を渡り、3ヵ月後くらいに奥さんのところに届くんです。奥さんがその手紙を開けたときには、すでに旦那さんは死んでいるかもしれない。いまのように双方向ではないから、彼が手紙を書いたときの状況を思い浮かべて、相手のことを考えないとコミュニケーションは成立しないんですね。そういう、間接的なコミュニケーションをいま皆さんに与えることで、思いやりが出てくるかなと。

 

『DEATH STRANDING』におけるプレイヤー間の「つながり」はおそらく後者なのだろう。一方、ゲーム中でサムが繋いでいくことになる「カイラル通信」はどちらかというと前者の棒的な「つながり」になるのではないかと思う。

 

jp.ign.com

 繋がればUCAのサービスを使うことができるが、それと同時に常に自分の情報を取得されてしまう。ジョージ・オーウェル著のディストピア小説1984』みたいな感じだ。小説の登場人物とは似ていない人物も登場して、“人間は過去の出来事を繰り返してしまうからUCAには繋がない”と主張するかもしれない。現代のトランプ大統領欧州連合みたいなことだね。これはメタファーなんだ。でも、近づけば彼らは「わかった、繋げるよ」と言い始める

 

 『1984』云々というのも気になるが「過去の出来事を繰り返してしまう」「トランプ大統領欧州連合みたいなこと」という部分が非常に引っかかる。トランプ大統領の誕生した2016年の大統領選挙やイギリスの欧州連合離脱の是非を問う国民投票においてインターネットが選挙結果に大きな影響を与えたということは有名である。(この辺の話に関してナンノコッチャという人はNetflixドキュメンタリー映画『グレート・ハック: SNS史上最悪のスキャンダル』を見てください)

www.netflix.com

 

またこのIGNの記事の引用元になっているGame Informerの記事では以下のような発言をしている。

www.gameinformer.com

 Yes, because the world setting is the dark and lowest world you can think of. Your solitude, you’re alone – the storyline itself is a worst-case scenario. 

 

「世界観は暗く、あなたの想像することのできる最悪の世界」、「あなたは孤独であり、ひとりぼっち」、「ストーリーラインは最悪の事態」とまあ今回もろくなことにはならなそうである。主人公が繋いできたカイラル通信が原因で物語後半何かとんでもないことが起きて隔離プラットフォームのような酷いことをプレイヤーにやらせるのではないか? みたいなことをどうしても想像してしまう。また”Your solitude, you’re alone”というのも気になる。『DEATH STRANDING』は繋がりがテーマなので逆説的ににプレイヤーにとてつもない孤独感を味合わせるゲームになっているのではないか? それこそ共同体からはぐれ、いつ茂みや物陰から肉食動物が襲ってくるかもわからない荒野を独り歩いて行くような、初期の人類が経験したであろう原初的孤独感を

 

 

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『DEATH STRANDING』

 

とここまで発売前のゲームに対して思うところを長々と書いてみたがいざ実際に自分でプレイしてみたら「てんで的外れなことを書いてしまったな」となるかもしれない。なにせ雷電の存在も声帯虫のギミックも発売までは伏せられていたのだ。実際にプレイして自分で確かめてみるまでは何もわからないが、それもいよいよあと十数時間である。ついに「A HIDEO KOJIMA GAME」が帰ってきたのだ。デス・ストランディング、楽しみだなぁ……。

 

 

以下、デススト発売にあたって最近読んだ本の話


創作する遺伝子 僕が愛したMEMEたち (新潮文庫)

MEME本の文庫版。単行本から一部が割愛されていますが帯に「『DEATH STRANDING』への繋がり。」とあるように新作に繋がる話を選んで収録している気がします。(気がするだけかもしれない)

 


孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか (河出文庫)

 「つながり」を求める社会的な動物としてのホモ・サピエンスについて様々な側面から書かれた本。MGSの声帯虫や超個体に関するカセットテープが面白かった人は読むと面白いと思います。

 


「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア

SNSが如何に世の中を有り様を変えたか語るMGS4のメイキング映像にも出演していたP・W・シンガーの新刊。MGS2好きな人は読みましょう。