デススト再プレイとかTwitterで見かけた「考察」とかDS2の話とか

DS2が発表されたのもあって年末年始はデス・ストランディングを遊び直したりしていました。

2周目プレイしたり、プラチナトロフィー取ったり*1フォトモードで遊んだり……。

このゲームのフォトモード楽しいですね。

ドメイン切れのサイトに出てくるタイプのサム・ポーター・ブリッジズ

きれいなロケーションが多いゲームなのでPS4版発売当時にフォトモードがなかったのもったいなかったなと思います。コストや優先順位の問題で難しかったのかも知れませんが。*2

 

さて、発表されたDS2関してですが小島秀夫Spotifyポッドキャスト

open.spotify.com

  • DS2はDS1を作っている時にすでに考えていた。
  • 1作目を作りながら続編をイメージしていて、お話も細かいところまで頭の中にあった。
  • 発売後にコロナ禍があり、シナリオを全部書き直した。
  • 「我々は繋ぐべきだったのか?」が今回のテーマ。
  • 前作は縄のゲームとして分断している孤立している人たちを繋いでいくことが正義だったがそんな中でコロナ禍があって、じゃあこれからどうなるのか?という部分に触れているのがDS2。

と語っています。(23分24秒~)

 

1作目を作っている最中から続編の構想があったということはスティルマザーの存在など1作目で具体的に触れられなかった部分が続編への布石であった可能性が出てきます。

作中で語られていたようにカイラル通信の端末にはBBが組み込まれていました。作中に出てくる通信端末だけでも結構な数の”人柱”が必要なはずですが、作中でアメリの口から「都市では少しずつ人の数が減ってきている」「子供も産まれなくなってきている」と語られています。そうした状態で脳死状態の妊婦がそう都合よく見つかるとも思えないわけで、BBの製造過程及びスティルマザーの確保にはかなりの非人道的な手段が取られているのでは?と察することが出来ます。実際デスストランディングのアート本のスティルマザーの初期イメージを見ると、あくまでもゲーム制作中の初期イメージであることに留意が必要なもののBBの製造過程においてブリッジズがかなり真っ黒な組織であることが伺えます。

 

ところでだいぶ前にTwitterで以下のような意見というか所謂「考察」を見かけました。

  • 脳死状態で生命維持装置に繋がれてる人間の頭を撃ち抜いたところで本当に即死するの?
  • ところでデッドマンは当初ルーの母親としてリサの名前を上げていなかった?

要するにリサは死んでおらずブリッジズに”BBの製造装置”として利用されているのでは?という仮説です。

 

正直あまりにも人でなしな設定なのでこれは違っていて欲しいなと思い、この説を否定する材料を探す目的もあり2周目をプレイしていたところがあります。その結果ですが確かにサムがBBの実験体であったことが判明する前の段階で"BBの母親”としてリサの名前が出てきてますし、サムがBBとして使えなくなった理由も「スティルマザーが死んだから」ではなく「あの世との臍帯が切れたから」と語られていました。

うーん……。

 

www.youtube.com

 

次に「コロナ禍があり、シナリオを全部書き直した」「『我々は繋ぐべきだったのか?』が今回のテーマ」という点について考えてみます。

繋げさせておいて「繋ぐべきだったのか」じゃあないよ

デススト作中では謎の現象「デス・ストランディング」により人々が都市やシェルターに閉じこもり孤立した世界が描かれましたが、発売直後にコロナ禍となり外出自粛や移動制限、人との接触の制限がなされ奇しくも現実世界が同じ様な状況になりました。コロナ禍で実際にみんなが引きこもり、デススト作中のカイラル通信のようにインターネットで繋がって何が起きたのかというと反ワクチン、Qアノンのような陰謀論の蔓延、アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件だったりしたわけです。

 

「インターネットは脳の最悪の衝動を煽り、それを無数の人間に広めて、このプロセスを過熱させる。ソーシャルメディアはユーザーを、彼らの見解の一つ一つが広くシェアされるように思える世界にいざなう。ほかの人間も自分と同じだと思わせる。いったんグループができれば、同類性の力によって結びつきはさらに緊密になる。元米陸軍大佐で歴史家に転身したロバート・ベイトマンが的確に要約している。『かつては村ごとに愚か者がいた。インターネットが彼らを一つにした』」

P・W・シンガー,エマーソン・T. ブルッキング著『「いいね! 」戦争 兵器化するソーシャルメディア』(NHK出版、2019年)

 

赤をイメージカラーとする前大統領を崇拝している集団というのも示唆的な気がします。
考えすぎかも知れませんが……

自分はデススト発売当時、面白いことは面白いけれどMGS2小島秀夫が2019年に改めて作ったインターネットに対する批評としては物足りなさを感じていたのですが、作ってる最中から続編を考えていたのであればPWのあとMGSVのように続編で”繋がる”ことの負の側面が描かれていくことになるのかも知れません。

DRAWBRIDGE

前作の組織の名前があちらとこちらを繋ぐ橋”BRIDGES”だったのに対してDS2では必要に応じて繋がりを断つことのできる跳ね橋”DRAWBRIDGE”というのも面白い点です。

どう見てもメタルギアなDRAWBRIDGEの船
船体に「DHV MAGELLAN」の文字が確認できる

DRAWBRIDGEの船の船名と思われるDHV MAGELLANですが航海士のフェルディナンド・マゼランから取ったものではないかと考えています。史上初の世界一周航海で知られ、マゼラン海峡の名前の由来となった人物です。しかしながら、彼の率いていた5隻の船のうち1隻は確かに世界一周を成し遂げたものの、彼自身は航海の途中で殺されています。

「マゼランはマクタン島の人々にキリスト教への改宗を求め、現地の族長だったフマボンとラプ・ラプの争いに巻き込まれた。1521年4月27日、マゼランはラプ・ラプと住民たちを攻撃した際、毒矢で殺された。」

natgeo.nikkeibp.co.jp

前作で米国の歴史をなぞるように北米大陸を東から西を横断した流れで、次にどこに向かうのかといえばアメリカの外と考えるのが順当ではないかと思います。マゼランのフィリピンで現地の人々に対しキリスト教への改宗を要求した結果殺されたエピソードを考えると、DS2はカイラル通信のシステムをアメリカの外に"輸出"しようとして何かしらのしっぺ返しにあう……みたいな話になるのかも知れません。やや安直かも知れませんが。何にせよ前作でのアメリゴ・ヴェスプッチに続いて非常に小島秀夫らしいチョイスな気がしますし、またアメリ覇権主義の話になるんじゃなかろうかという気がします。マゼラン自身はアメリカ人ではありませんが。

 

とまあ色々と書き散らしましたが、実のところ自分はデスストのディレクターズカット版追加エピソードを遊んでいないんですよね。なのでてんで見当違いなことを長々と書いただけかも知れません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……はい、ということでね

my new gear ...

*1:デスストのプラチナトロフィーは何か高度なプレイヤースキルが求められるわけでもなく、ただひたすら時間がかかって面倒くさいだけなので達成感もなければ自慢にもならないしただただ徒労感があるだけでした。トロフィーとか実績、あると取りたくなったりしてしまってゲームが純粋に楽しめなくなるので切実に滅んで欲しい……。

*2:インタビューによると検討はしていたもののここまでフォトモードがSNSで盛り上がるとは考えていなかったみたいです。「だから当然、デス・ストランディングでもカメラ機能の実装は検討していましたが、僕自身そこまで必須の機能とは思えず、発売時には入れていませんでした。ただ、美しい風景を撮影したいというプレーヤーの声を受け、フォトモード(編集部注:時間が一時的に停止し、好きな画角で撮影できる機能。フィルターなどを調整することで、多様な作品を生み出せる)を盛り込みました。そこからは、僕の予期しない盛り上がり方をしています。景色を撮影するのかと思っていたら、すごい凝った写真が続々とSNSに投稿されるようになりました。主人公に様々なポージングをさせたり、ストーリー性があったり、想像を超えていっています。30年以上もゲームをつくっていますが、ゾクっとするカットショットも生まれています。今までにない喜びですね。」

「国道復旧がブーム? 次の一手は? 小島秀夫氏インタビュー後編:日経クロストレンド」

2022年に遊んだゲーム

こんにちは。去年買って良かったものはポットが断熱になってるタイプのコーヒーメーカーとスプラトゥーン3仕様のプロコンです。

 

こうやって書くと年末のブロガーぽい雰囲気が少しでも出ないかと思いましたがまるで駄目ですね。本当は昨年末に書こうかと思っていたのですがもう年も明け年度もまたぎ「今年の4分の1が終わってしまった」とか言ってそこからさらに3週間近く経って4月も下旬です。やばいですね。つまりは『ゼルダの伝説 ティアーズ・オブ・ザ・キングダム』まであと一ヶ月を切りました。楽しみですね。で、なんで今さらこんなものを書いているかというと年末年始に書きかけで放置していたのがどうにも気持ち悪かったのと、Twitterが今現在あんな感じなのでインターネット上でTwitter以外にアクティブな場を作っておこうかなと。なので今後も以前思いついたけど面倒で書いていなかったものをこっちでちょいちょい書いたりするかも知れませんし、しないかもしれません。どちらにしろ生暖かい目で見てください。

 

HADES

敵を殲滅しながら次の部屋へと進んでいき冥界からの脱出を目指すギリシャ神話をモチーフとしたローグライクアクション。進む際、次の部屋クリア時に得られる能力が2択や3択で提示され、選択をしながら進んでビルドを組んでいくことになるのですが、これが程よいランダム性とプレイヤーへの選択を提供していて良いです。なかなか来て欲しい能力が来なくて思い通りのビルドにならない場合もあれば、たまたまめちゃくちゃ強いビルドが出来たり。偶然強いビルドが出来たときも死んだら初めからやり直しなので、過度にぬるくなったりせず一定の緊張感が持続するのもいい感じです。多彩な武器やビルドや途中で死んでもその度にストーリーが進行するのも合わせて繰り返し遊ぶモチベーションが続きやすく、そうして繰り返し挑戦しているうちに自分がこのゲームを上手くなっていっている*1と成長を感じられる作りになっており、仕組みとしてよく出来ているなあと思います。たのしい。

 

ところでこのゲーム、2020年のTGAでゴーストオブツシマやラスアス2といった所謂AAAゲームとともにGOTYにノミネートされるなど賞レースでも奮闘していました。従業員がわずか20人のインディージョーンズスタジオで大作と肩を並べているわけで、制作スタッフはさぞ重労働をしていたりしたのかと思いきや、本作制作のSupergiant Gamesは従業員に休暇を義務付ける制度があるなど労働環境的にはかなりクリーンだったようです。私はラスアス2を傑作だと思ってますが、何年も前から労働環境の劣悪さを批判もされてきたにも関わらず、発売延期とスタッフへの重労働を行いながら作った作品はいくら出来が良くっても”ベストディレクション”には値しないと思いますし、TGA2020のベストディレクションはHADESが取るべきだったのではないかと未だに思ったりしています。

Subnautica

未知の海洋惑星で食料の確保や資源を集めて道具や設備のクラフトをしながら惑星脱出を目指す海洋オープンワールドサバイバルゲーム

このゲーム、検索しようとするとサジェストに「サブノーティカ 怖すぎ」と出てくることからもわかるようにかなり怖いです。ちょっと深いところまで潜るとすぐに視界が悪くなりますし、遠くから巨大な敵性生物の鳴き声が聞こえてきたり、水中洞窟や人工物の残骸の中を探索するときは閉塞感で息が詰まります。ただそれだけに自分がクラフトして作った基地に帰ってきたときの安心感はひとしおですし、自然と愛着も湧きます。

ゲーム序盤に浅瀬に作った基地。

 

ゲームプレイのサイクル的にも探索→基地に帰ってきて一休みという緩急がちょうどよいです。

こうやってゲキヤバ生物から命からがら逃げ回ってるのがたまらなく楽しい。

 

敵対的な生物や無害なもの、友好的なものまで、出てくる生物のデザインが非常にいいです。上の動画のリーパーリヴァイアサンは特に秀逸だと思います。環境ストーリーテリングを多用したストーリーも良かったです。

基地や装備、資源が充実してきてイキってる時が一番楽しい。


ただこのゲーム、不具合やパフォーマンスの不安定さなどの問題が無視できない程度は大きかったです。落ちてるアイテムが時間経過で消えたりしないようで、拠点として作った基地の近くの熱水噴出孔に魚が突っ込み熱で死んで、異常な量の死体が溜まってその周辺だけ動作が重くなるといったことが起きたりしました。

極限環境で活動可能なパワードスーツを作ってまず最初にやったのが
熱水噴出孔に溜った腐った魚の回収というのおかしいと思う。

PS4版でプレイしていたのですがアプリケーションエラーで数時間分の作業がパーになったりすることも頻発して、ゲーム終盤のイベントではかなりノイズでした。こまめなセーブ大事。

2022年の12月にアップデートが来たようなのでその辺の問題に関しては、もしかたら改善されているかもしれません。しらんけど

automaton-media.com

ELDEN RING

2022年の個人的GOTY。広大なマップの探索と骨太な戦闘とロールプレイがとっても楽しい。個々の要素を見るとゲームとしての新規性は殆ど無いと思うんですがクエスト受注してマップのマーカー追って……みたいなオープンワールドゲームが沢山ある中でここまでプレイヤー自身による探索に特化した作りのオープンワールドは今まであまり無かったような気がします。気がするだけかもしれない

如何にも何かありそうなランドマークがあちらこちらに見えて探索がたのしい

オープンワールド化もどうなるかと思ってましたが倒せない強敵にぶつかって先に進めないとなってもひとまず無視して他のエリアを探索したり、ダンジョンを攻略したりと気分転換ができ、そうこうしているうちにレベルが上ったり強い武器を手に入れたりしてさっきまで勝てなかった敵をあっさり倒せるようになったり、オープンワールドとソウルボーンの相性が思いの外に良かったです。マップもあまり詳しく教えすぎず適度に不親切、それでいてマップ上の何かありそうなところに行くと実際に何かあるという感じで自分で探索するのが楽しく程よく突き放してくれるのが好印象。

エルデンリングのマップ。
自分で設置できるマーカーに関しては視認性が悪すぎるので種類によって色を変えるとか要改善だと思う。

ゲーム序盤でワールドマップを見て「全体マップの広さはこれくらいね。ふーん」と思っていたら新しいエリアのマップを手に入れた瞬間全体マップの大きさがぐんっと広がったり、地下に行ったらマップが2層構造になったりしてゲーム全体が想像以上に巨大だとわかる演出がかなり良かったです。ボリューム感に関してこんなものかと侮っていたら実は序盤も序盤の狭い範囲しか見ていなくて全体としてはめちゃくちゃ巨大だった驚き、底の知れなさとでもいいますか。立体的で入り組んだレベルデザインのダンジョンも非常に良く出来ており、ショートカットが開通して「そことそこがつながっていたのか!」となるようなメトロイドヴァニア的な楽しさもあります。ただ、英雄墓のチャリオットを避けるのがゲームとしてまったく楽しくないのとよく似た構造の部屋が複数並んでいてそれを行き来する仕掛けのダンジョンが2回出てくるあたりはどうかと思いました。後者は一回だけなら良かったのですが。

オンラインのメッセージ機能も良いです。自分の残したメッセージに高評価をもらえると嬉しいですし、ユーモア溢れるおもしろメッセージがあったりしてついつい読んでしまいます。

ここまで説得力のある「やめておけ」は狭間の地広しといえどなかなかないと思う。

ストーリーに関してはまあ正直よくはわかりません。が、よくわからないなりに考えるのがすごく楽しいです。「昔のドット絵のほうが想像が膨らんだ」ということをゲームに関して言う人がよく居ますがエルデンリングのストーリーテリングはまさにそういった感じで、モザイクのように断片的で霧がかかったようにぼやけており全体像はなかなか見えず、しかしそれ故に想像が膨らむという独自の味わいがあります。フレーバーテキストや環境ストーリーテリングの巧みさも相まって断片から全体を想像するのが楽しいです。

コントローラーを置いている最中も「トロルのお腹がえぐれたようになっているのはトロルは元々巨人戦争において巨人勢力から黄金樹側に寝返った裏切り者なので、以前は火の巨人と同じように火を宿す目がお腹にあったけど火は黄金樹における禁忌なので黄金樹側への忠誠の証として目をえぐり出したのかな……(早口)」みたいなことを考えがち

エルデンリング発売に際して『ソウルシリーズの何が新しかったのか?』みたいな記事を見かけた記憶がありますが、ソウルボーンの死んで覚えることを前提としたゲームデザインが新しかったかというむしろ逆なのではないかと自分は思っています。昔のアクションゲームやアーケードゲームって死んで覚えるの前提の難易度だったとよなあと。例えばスーパーマリオブラザーズは初見で一発クリアできるようには作られておらず、何度も繰り返し死んで対処法を覚え、時にはあとちょっとだったのにという悔しさをバネに頑張ることで初めてクリアできるようになっており、それによって達成感を得たり、周囲にそれを自慢したりという構造があると思います。ソウルボーンといったフロムソフトウェアのゲームのデザインにもそれに近いものがある気がします。そういうむしろアクションゲームとしては原初的な設計思想で作られていつつも、多彩な攻略法やレベル上げといった救済措置が用意されていたり、死んだ際も理不尽とはならない絶妙なバランスで現代的に作られているのがフロムゲーの良いところかと。

フロムソフトウェアのゲームというと良く「死にゲー」と言って高難易度だと思われがちですが実際にはトライアンドエラーを前提としたゲームデザインになっているだけで、ゼルダの伝説を普通にクリア出来るくらいのプレイスキルがあれば十分クリア出来るようになっていると思いますし、レベルを上げて殴るといった手段も用意されているので不要に高難易度かのようなイメージを作るのは良くないのではないかと思います。全体的な不親切さもプレイヤーを信用しているがゆえですし、難易度に関して懸念してフロムゲーを避けている人が居たらとりあえず本作を遊んでみて欲しいなと思います。多少スパルタ方式かも知れませんがクリアだけなら理不尽な高難易ということはないと思うので……。

Far Cry 6

UBIソフトオープンワールドFPS。フリーウィークエンドで遊びました。面白かったです。

こういうふうにヘッドショットが決まるととても気持ちいい。ヘリからスカイダイビングして上空から敵陣に侵入して暴れたり、スナイパーライフルでステルスプレイしたり、リゾルバー武器やスプレーモといった特殊武器を使って敵のヘリや戦車を蹴散らしたり、とにかく楽しいです。独裁政権のくそったれを銃で撃つのは楽しいというプリミティブな快楽があります。ボリュームもすごく永遠に革命を起こせそうです。そうやって「ゲリラ活動は……たのしい!」くらいのノリでこれといった思想も意思もない主人公が周りに流され良いように利用される形で革命を成就させてしまったので、ストーリークリア後のヤーラはろくなことにならない気がしますが、それはひとまず置いておいて……。

Far Cry 6

その主人公ですが本当に何も考えてなさそうでありつつ、どこか憎めない良いキャラをしてます。

ストレンジャー・シングス』コラボミッションの一幕。終始こんなノリ

 

本作では前作のファークライ5と違い主人公がよく喋るのに加え、カットシーンやゲリラの拠点など一部の非戦闘エリアではカメラが三人称視点になったりします。GDC 2023の公演によるとこれは今回の敵が国家であり、単なる一人のゲリラにすぎない主人公と最終的に倒すべき一国の大統領を物語の中で頻繁に絡ませるのが難しいという課題を解決するための工夫らしいです。普段からカットシーンが三人称視点なので、主人公がその場に居ない大統領のシーンに違和感なく場面転換できると。

www.4gamer.net

この試みは上手く行っていると思いますが、一部エリアで三人称視点を採用するのであれば車や馬などに乗っている時も三人称視点に出来たら良いのになと思ってしまいました。視界が狭くとても操作しづらかったので……。

 

エルデンリング発売時にエルデンリングのUI、特にマップやクエストリストまわりが不親切すぎではないかという話題があり、その流れでごちゃごちゃし過ぎなUIのゲームとしてUBIソフトのゲームが槍玉に挙げられたりしていました。確かにクエスト等の発生場所や目的地、アイテムなどがびっしり並んだマップは煩雑な印象を受けますし、クエストマーカーを追いかけるだけのゲームは作業感お使い感が出てしまいます。かといって戦闘がメインのオープンワールドFPSでクエストマーカーが存在せずぐるぐると探索をさせられたらかなりのストレスでしょうし、探索に重点を置いたオープンワールドRPGはお使い感が出てしまうのでマーカーないほうが良いと思います。ビデオゲームに唯一の絶対的な正解は無いですし、ゲームプレイのどこに重点を置くかという問題であって単純にどちらのほうが良い悪いではない気がします。

星のカービィ ディスカバリー

初の3Dとなった星のカービィ最新作。主にエルデンリングの合間に休憩がてら遊んでました。カービィがとにかくかわいい。

カニのフィギュアを見ているカービィ。かわいい

狭間の地を長時間歩き回って疲れた時の癒やしでした……。が、クリア率100%等を目指そうとするとなかなかに骨太で特にミニゲームのタマコロカービィがきつかったです。

レベルを上げて殴るといった手段が取れないので、正直エルデンリングのマレニアより苦労した気がします。ジャイロ操作のミニゲーム、切実に滅んで欲しい。

かわいい

バイオショック コレクション

随分と前にセールで買って数年単位で積んでいたのを『リセットを押せ』でケン・レヴィンの話を読んだのをきっかけにプレイしました。

奇跡的に今の今までネタバレ踏んでいなかったので、踏む前にプレイできて良かったです。

BioShock

「お使いのようにゲームの側から出された指示をこなし続けるプレイヤーは意思のない操り人形と同じ」とビデオゲームの当たり前のルールを逆手に取ったストーリーが面白いなと思った反面、中盤のどんでん返し以降もそれまでと同じような形でゲームが進行するのはもう一捻り欲しいなと思ってしまいました。あとローカライズがとても丁寧で良かったです。

BioShock 2

一作目のめちゃくちゃ丁寧なローカライズが嘘みたいな出来でちょっとびっくりしました。本編の出来も正直パッとしませんでしたがDLCミネルバズ・デンがめっちゃくちゃに良かったです。一人称視点でストーリードリブンのリニアなゲームを作るんだったらこういうことやって欲しいというのが全て詰まってました。

BioShock Infinite

めちゃくちゃ面白かったです。とにかくストーリーが本当に良く出来ている。よく「記憶を消してもう一度プレイしたい」と言ったりしますが、ここまで話の構造が良く出来てるとすべてを知った上でもう一度プレイしたくなります。もし未プレイでこれを読んでいる人が居るならつまらないところでつまらないネタバレを踏む前に自分でプレイするべきです。

エリザベス

ストーリー上の重要キャラであるエリザベスも非常に良かったです。「ビデオゲームで戦闘中にプレイヤーが守らないといけない女性キャラは女性は守られるものというステレオタイプであると同時にキャラにヘイトが行きがちであんま良くないよね」みたいな議論があったなと遊んでいて思ったりしました。バイオショックインフィニットとラストオブアスが同じ年に出たという事実には興味深いものがあります。どちらも主演がトロイ・ベイカーですし。

 

ただ、デイジー・フィッツロイ周りのストーリーはちょっとどうかなとも思いました。人種差別的な体制に抗う反体制組織のリーダーが実は目的のためには手段を選ばず子供も平気で手に掛けるようなやつでどっちもどっちというのはどうかあ、と。現実世界の差別や迫害をモチーフにしておきながら「暴力的手段に手を染めた時点で両方悪いしどっちもどっち」みたいな結論に持っていくのには、うーんとなってしまいました。「抵抗するためとは言っても暴力はいけないし、暴力に訴えた時点でどっちもどっち」というのはものすごくナイーブな外野の意見でしかないよなと思わせる現実世界の戦争に関するニュースがこの一年溢れていたわけでね……。*2

Disco Elysium - The Final Cut

めちゃくちゃ面白かったです。2022年2番目に良かったゲームを聞かれたらディスコエリジウムの名前をあげます。まずこのゲームがこれだけ丁寧に日本語ローカライズされた発売されたこと自体がすごいし、本当にありがたいことです。このゲームは大量のテキストを読むのが一番の魅力なのですがなんとゲーム全体でハリーポッター全巻以上の文章量があるらしく、それがこのクオリティでローカライズされて4000円は安すぎて本当にもとが取れてるのか心配になってきます。

ビデオゲームで訳注が入ってるの初めて見ました。

それ自体が作品の主役と言えるような独特の設定の街と複雑な政治的事情が絡んだ殺人事件を追う刑事を主役とした物語ということでプレイしていてチャイナ・ミエヴィルの『都市と都市』を連想したのですが、どうも実際にチャイナ・ミエヴィルから強い影響を受けているのだそう。

作品世界の歴史や政治、文化、思想、技術大系等の設定の作り込み方がすごく、"重厚な世界観"ってまさにこういうことを言うんだろうなという感じで、これだけ聞くと「制作者の独りよがりか?」と身構えそうなものですが、これが自身や世界に対する一切の記憶を失った主人公へのロールプレイに寄与しているのが上手いです。また世界観自体は重厚かも知れませんが、そこで描かれるのは”壮大な冒険譚”ではなく、繁栄も革命も戦争もとうの昔に過ぎ去って忘れられた街を舞台にデロデロに溶けた記憶喪失の酔っぱらい刑事を主人公とした殺人事件の犯人探しです。

本作の主人公

主人公の頭の中には24の人格が同居しており、彼らが常に目まぐるしく脳内会議を繰り広げます。各人格にはスキルポイントを割り振ることができ、その割り振り方次第で主人公が頭脳派刑事になったり何でも力で解決しようとする脳筋刑事になったり、会話中に相手の嘘を見抜ける様になったりネクタイが喋りだしたりするようになります。

喋るネクタイ。
ネクタイの一連のイベントは非常に感動的なので進めておくことをオススメします。

また本作はTRPG的なゲームシステムになっており、能力が変化に応じてゲーム中に発生するダイスを使ったスキルチェックの成功率が上がったり会話での選択肢や展開が変化します。

捜査中スキルチェックが発生する

このスキルチェックシステムがなかなか面白く、低確率のスキルチェックが序盤から成功し物語が急展開することがあったり、逆に成功率の高いスキルチェックを失敗することもあります。スキルチェックを失敗してもゲームオーバーというわけではなく、中には失敗したことで新たなヒントが得られたり、思いもよらない展開が発生したりします。

主人公は能力だけでなく思想的にもプレイヤーの選択次第で支配階級を抹殺したがる共産主義者から金の亡者のウルトラリベラル*3、差別主義者にも倫理主義者にもなれます。そんな主人公の操作の相棒がキム・キツラギです。

キム・キツラギ警部補

このキツラギさんが本当にいいキャラしてます。非常に真面目で仕事熱心、それでいて車やメカ好きの一面があり、主人公がどんなに奇抜な行動をとっても見捨てず、差別的な言動を取ったら自省を促してくれるこのゲームのバランサーです。彼がおらずただただ差別的な選択もできる自由度の高いだけのゲームだったらこの作品はここまで面白くなってなかったと思います。

このゲームの良心

 

余談ですが自分はSwitchで本作をプレイしたのですがSwitch版はあまりオススメしません。普通に遊べますが最適化不足なのかそもそものハード性能が足りないのか一部シーンが超ハードコアです。

Nintendo Switchは良い製品だと思いますが「ゲーム機の性能はSwitchで十分」嘘っぱちもいいところです。

Pokémon LEGENDS アルセウス

野生動物を乱獲してお金を稼ぐゲームです。

ポケモンを捕まえて報告するとお金がもらえる。

これはこのゲームに限らずポケモンというIP自体が抱える問題な気がしますが、ポケモンとの絆みたいなことを言いつつポケモンを大量に乱獲したり戦わせたりするというゲームデザイン上の仕組みになんとなく居心地の悪さを感じます。個人的にポケモンのストーリーに求めているのは子供が一人でポケモンと一緒に旅をして冒険をするようなジュブナイルものであって、本作のような異世界転生ものではないんだよなぁ……とも思います。

「共存共栄」と言ったかと思ったら「どんどん捕まえろ」と言ってきたりする。

シリーズ初のアクションRPGということでいちいちコマンド式のバトルに入らなくても、スニーキングでこっそり背後から近づきモンスターボールを投げて捕まえたり、戦闘になってもそのまま走り去るだけで文字通り「逃げる」ことが出来るようになっているあたりは快適で良かったです。クラフト用のアイテムを収集するのもポケモンを捕まえるのもバトルをするのも「モンスターボールを投げる」という一つのアクションに集約してるのもグッド。

一方で描画距離が非常に短く、せっかくオープンで広いフィールドが舞台になったのに飛行ポケモンに乗って空の上から野生のポケモン探して回るといったことをしようとした時に支障が出ているのは良くなかったです。

高所からの落下ダメージの存在により不意の事故死やポケモントレーナーとのバトルで相手が複数体同時にポケモンを出してくる等ゲームとしての楽しさに繋がらないしなんでそんな仕様にしたのか理解に苦しむ部分も多く、お使い感の強い大量のクエスト等トータルで見るとうーん……という感じでした。

1対3は完全にズルだと思う。

スプラトゥーン2 オクト・エキスパンション

3の前にやっていなかった2のDLCをやろうと思い3発売前後に遊んでいました。

「撃ち合いだけではなく塗った面積が勝敗を左右するのでエイムが下手なゲーム初心者でも塗ることでチームに貢献出来るのが画期的」という様なシュータージャンルとしてゲームデザイン方面の特異性を言及されることが多い印象のスプラトゥーンですが、そもそもシュータージャンル以前にアクションゲームとしてめちゃくちゃ触り心地が良いんですよね、このゲーム。ばしゃばしゃインクを発射して塗ったところをイカ状態でスイーッと泳いでインク溜まりからインク溜まりへぴょんと跳ねたり、キャラを適当に動かしてるだけでもかなり気持ちいい。チュートリアル的な側面の大きかった本編の一人専用モードと違い、このオクトエキスパンションはそんなアクションゲームとしての面白さが遺憾なく発揮されつつ、DLCだけあり的確なキャラコントロールを求められるかなり骨太な難易度となってます。

 

本編のナワバリバトルが最先端のイカしたイカたちのストリートスポーツを舞台にイカたちのファッションや流行を描いたものだったのに対して、オクトエキスパンションは地下世界を舞台に過去の流行語や時代遅れの懐かしいもの、ヴェスパーウエーブ等のインターネットカルチャーをモチーフとして多用し、イカに憧れるタコを主人公として地上への脱出が描かれます。

懐かしい玩具だったり

黎明期のインターネット風チャット画面

GCも今やノスタルジーの対象

バブルテープガムとか懐かしくて涙が出てくる。

 

そうした懐かしいモチーフを多用した上でラスボスとしてかつての地球の支配者「ニンゲン」の残した遺物が出てきて、地球上での生存をかけた”ナワバリバトル”が始まるというラスボス戦の演出がとても良かったです。

ニンゲン

あと心のなかの3号も倒しました。いえーい

スプラトゥーン3

鬼!悪魔!時間泥棒!イカゲーム!

こんなエントリを4月中旬に書いてるのもだいたいこのゲームせいです。

いまマイニンテンドーアプリを確認したら現時点でプレイ時間が450時間でした。

同様に自分のスプラ1スプラ2のプレイ時間を調べてみたら
それぞれ50時間以上30時間以上でした。

自分は元々PvPみたいなオンラインコンテンツがあまり好みではなく、スプラトゥーンシリーズも世界観や音楽、アート、ゲームデザインは好きなもののそこまで長時間プレイするという感じではなかったんですが3はドハマリしました。で、なんで3でここまでハマったかというと3の全体的なデザインがライト層やエンジョイ勢、ゲームがあまり上手くない人にもストレスなく楽しんで遊んでもらえるように作られていることが大きい気がします。例えば試合に負けた際の演出も2まではどんよりとしたBGMで負けたチームのキャラクターが悔しがる様子を見せられたりしていましたが、今作では自分のチームが負けても勝ったチームが喜んでる様子が流れるようになっています。また、試合の勝ち負けやキルレシオ等に関係なく結果画面で塗った面積や移動した距離、インクの消費量などとにかく試合中の何かしらの行動を表彰で褒めてくれます。

頑張ったで賞

マッチング中の待機時間に射撃場でキャラを動かせるようになったのも地味ながら大きな変化です。オクトエキスパンションでも言いましたがこのゲームはアクションゲームとして触り心地が良いので、待機中にキャラをすこし動かせるだけでも待たされてる感がまるで違ってきます。前の試合で一緒だった人とマッチング中に緩くコミュニケーションを取れたりするのも楽しいです。

 

バンカラマッチという所謂ランクマッチも前作と違い降格することがなくなったので前作よりもカジュアルに楽しめるようになりました。このあたりの仕様はランクと実際の実力が乖離することがあるので賛否がありますが、降格がなくなったことである程度の段階まではやればやるだけランクを上げることが出来、非ガチ勢が目標とモチベーションを維持しやすくなったのではと思います。

 

スプラトゥーン3は縦長構造のステージが多く、裏取りがしにくかったり長射程の武器が有利になっているという批判がありますが、これもゲーム初心者向けの調整の結果ではないかと思います。横に広くて裏取りするルートが複数ある複雑な入り組んだステージはどこから攻めるか?敵はどこから攻めて来るか?という読み合いや戦略性が楽しめる一方で、ゲーム初心者からすると前の敵だけじゃなくて後ろや横からの奇襲を警戒しないといけないのは考えないといけないことが多すぎるわけです。実際、自分はスプラトゥーン2を遊んだ時、よく分からず視界の外から攻撃を受けて一方的ににやられることが多くすぐに遊ぶのを辞めてしまいました。

 

スプラトゥーンシリーズのプロデューサー野上恒氏が日経新聞のインタビューでスプラトゥーンシリーズがこれだけ受け入れられた理由として

わかりやすいビジュアルとルールに落とし込めたことが大きい。シューティングゲームは仲間同士で『前線』を把握するのが難しいが、スプラは地面に色を塗り合うゲームなので、どこが前線なのか把握しやすい。(初心者が)画面を後ろから見ているだけでも一目でどんなゲームかなんとなく想像できる

と語っています。

この発言を踏まえるとスプラトゥーン3のステージが過去作に比べて縦長構造になっているのは「初心者が前線を把握しやすいように、あえて裏取りがしづらくシンプルな縦長のステージにしている」「より初心者向けに調整している」というのが理由ではないかと考えられるわけです。

www.nikkei.com

初心者お断りのゲームデザイン、バランスになると裾野が狭まり、プレイ人口の縮小と過疎化による衰退を招きかねません。また、ビジネス的な部分を考えるとこのゲームは課金要素がないので少数の上位勢に合わせるよりもボリュームゾーンであろう低レート帯のエンジョイ勢、カジュアルに楽しんでいる層に合わせた調節をして、より多くの人に有料オンラインサービスに長期間入ってもらうことが望ましいわけです。ウデマエS+以上のプレイヤーなんて全体から見ればかなりの少数でしょうし。そうした視点で考えるとシーズン制を採用して新武器・新ステージ追加のスパンが長くなったのもなんとなく理由が見えてきます。新シーズンの開幕を武器やステージの追加新しいイベントで大々的に盛り上げてより多くの人に細く長く遊んでもらおうという方針がおそらくあるわけです。

 

……とまあPvP周りに関してわかったようなことを言いましたが最近は協力モードのサーモンランばかりやってます。あとオクトエキスパンションに引き続き一人用モードがストーリー、演出ともにめちゃくちゃ良かったです。DLCの『サイド・オーダー』が楽しみ。

The Good Life

『レッドシーズプロファイル』のクリエイターSWERY氏の最新作。

借金を抱え途方に暮れるジャーナリストのナオミ・ヘイワード。モーニングベル通信から「イギリスのある田舎町の謎を解き明かせ」という依頼を受け、彼女がやってきたのはニューヨークから遠く離れた地、“レイニーウッズ”。カメラを手に調査を始めたナオミは、夜になると住民たちがネコやイヌに変身するという奇妙な現象に遭遇する。そして、その謎を追う中で巻き起こる殺人事件……。さあ、“レイニーウッズ”の真実を解き明かそう。

あらすじの通りオープンワールドの海外の田舎町で殺人事件を追うアドベンチャーゲームということで方向性としてはレッドシーズプロファイルと近いです。このあたりのやろうとしていることというかコンセプトは雰囲気といいかなり良いと思います。ややトンデモ展開気味のストーリーややたらと癖の強いキャラは好みが分かれそうではありますが自分は楽しめました。主人公がフォトジャーナリストということでカメラで写真を撮りSNSにアップすることでお金を稼ぐシステムがあるのですが、これも思いの外作り込みがしてあって面白かったです。

一方、クエスト周りはかなり不親切です。リストで受注中の一つのクエストしか進行させることが出来ず、複数のクエストを同時進行出来ない仕様になっています。そのためクエスト達成条件を満たしていて当該人物に話しかけてもクエスト完了とならず、わざわざオプション画面で受注中にしないといけません。そのうえ受注中にした途端クエストに関連するキャラが別の場所に再配置される仕様があるので、たまたま町で以前受けたクエストの依頼主を見かけ、クエストを完了させようと受注をした次の瞬間そのキャラが目の前から消えたりします。

やたらと難しいミニゲームがあったり、クラフト用のアイテムの必要数が狂った数になっていたり、犬や猫に変身したり移動用の羊を呼び出したりする度に暗転が挟まれる等、ゲームとして細かい部分で結構ストレスフルでした。特に服やバッグなどの装備はそれなりの種類が用意されておりゲーム内でファッションが楽しめるようになっているのですが服を作る際の要求素材が面倒くさすぎてほとんど初期服でゲームを終えてしまいました。せっかく種類があるのに勿体なかったです。

とはいえコンセプトと雰囲気は抜群に良く、ストーリーやキャラクターも他のゲームでは味わえないSWERY作品独特の魅力があり、トータルとしては面白かったです。

Subnautica Below Zero

サブノーティカの続編。

今作では前作と同じ惑星の寒冷地帯に舞台を移し、海の中だけでなく前作にはなかった雪原等の広い陸地といったロケーションも登場します……が、この寒冷地&陸地という舞台が正直あまり面白くなかったです。まず陸地での長距離の移動に使う乗り物としてパワードスーツとホバーバイクがあるのですが前者は画面の揺れが酷く、後者は操作感が独特過ぎてゲーム酔いが酷く探索どころではなかったです。

海中も今作のどこに行っても寒そうな氷の世界より前作の暖かそうな浅い海から真っ暗な深海というほうがロケーションの変化にも富んでおり、深海から戻った時の安心感という意味でも前作の明るく温暖な海のほうが良かったような気がします。またフィールドの真ん中に墜落した巨大宇宙船オーロラ号があった前作のほうがオーロラ号を基準にして自分の現在地が把握しやすく、プレイしているうちに自然とゲーム内の地形を覚えることが出来たような気がします。総じて前作のほうがレベルデザインが良かった印象です。

また前作ではストーリーを進め、救難信号を追っているうちに自然とクラフトアイテムの設計図が集まりましたが、今作では大容量酸素ボンベの前に超大容量酸素ボンベを見つけたりゲームクリアまで大型水槽の設計図を見つけられなかったりしました。前作のほうが設計図の入手場所が複数あったり、ストーリー進行上で立ち寄るエリアに設計図が置かれていたり誘導が丁寧だった気がします。

 

一方で基地の建設は相変わらず楽しかったです。

基地外

全球ガラス張りのシャワー&トイレルーム

内装

窓を覗いたら外にヤバそうな生き物が居たり……

全体的に見たら面白かったですが前作と比べてしまうとどうにも見劣りするというのが正直な感想です。今作は元々前作のDLCとして作っていた経緯があるようなのでボリュームの少なさ等の不満点もその辺に起因するのかなと思ったり。

 

 

 

 

 

以上の他にデスストランディングの2周目プレイを年末年始にやったりしていたのですが、全体的に長くなったので分割して次のエントリに続きます。

nix-51.hatenablog.com

*1:実際には闇の結晶を消費して得られる恒久的なアップグレードの効果も大きいと思う

*2:このあたりは当時から批判があったようでDLCで後付け設定っぽいエクスキューズが入ってました

*3:現実世界でいうネオリベラルに相当すると思われる政治思想

ゲームスタジオが閉鎖された時、開発者には何が起こるのか?──『リセットを押せ:ゲーム業界における破滅と再生の物語』

 

その日の朝、社員は2つの部屋に分けて集められた。怪しげなクイズ番組に出てくる勝者と敗者のようだった。第1の部屋に入った人たちは仕事を続けられると告げられた。(中略)第2の部屋では、人事担当者が前方に立ち、 不運なクイズ参加者たちにレイオフを伝えていた。そして全員の事務手続きが終わるまで室内で待つようにと指示した。

 

『リセットを押せ:ゲーム業界における破滅と再生の物語』p.147-148

 

 

もしも、あなたがゲームを好きでゲームメディアの記事を頻繁にチェックするのなら、ゲームスタジオ閉鎖のニュースを見聞きした経験は一度や二度だけではないはずだ。好きな作品を作ったスタジオが「クリエイティブ人材の異動」「戦略的な組織の再編」といった名目で事実上の規模縮小や組織の解体をされるのを見たこともあるかもしれない。ビデオゲーム業界での大規模なレイオフやスタジオの閉鎖はそれくらい頻繁に起こる。『血と汗とピクセル』の著者ジェイソン・シュライアーの新刊『リセットを押せ:ゲーム業界における破滅と再生の物語』はそうしたレイオフやスタジオ閉鎖は何故起こるのか? そこで働いていたゲームクリエイターたちはどういった事態に見舞われるのか? に迫ったノンフィクションだ。

 

 

国際ゲーム開発者協会が2017年に行ったゲーム業界関係者約1000人を対象とした調査によると調査対象者の直近5年間で勤めた会社の数はフルタイム勤務で平均2.2社になるという。ゲーム業界、とりわけ大企業は何故こうも雇用が不安定なのか。理由は様々だろうが開発中莫大な費用がかかる一方で実際にゲームがリリースされるまで一切の売上が発生しないビジネスモデルが関係しているかもしれない。ゲームが完成を待たずして会社の資金が尽きてしまったのかもしれないし、完成したゲームが会社幹部の期待に応えられるだけの利益を出さなかったのかもしれない。モバイルゲームやオンラインゲームに注力するという経営上の判断から既存の部門が縮小されたのかもしれないし、株主に喜んでもらうため社員数を減らして決算報告書の見かけ上の数字をよくする必要があったのかもしれない。とにかく、そうした理由で職を失った開発者一人ひとりに人生や生活がある。この本で取り上げるのはそうした開発者個人についての物語だ。

 

本作を読んでいて印象的なのがビジネスとして利益を第一に考える会社経営陣とクリエイティビティを優先する現場の対立だ。ある会社では安定して利益を上げられるオンラインマルチプレイモードを作らせようとしたり、また別の会社では基本プレイ無料や課金要素といった流行りのビジネスモデルをゲームに入れるようスタジオに要求したりする。その結果、リソースが足りなくなり数ヶ月かけて作ったオンラインモードを破棄することとなったり、基本プレイ無料といったモデルに合わせてゲームデザインを都度作り直すといった作業が発生し現場を疲弊させる。作りたくもないものを作らされることで、士気が下がったり優秀な人材が離れていくといったことも起こる。第8章で出てくるミシック社の話は特に印象深い。90年代の名作『ダンジョンキーパー』のモバイル版を作ることになるのだが親会社のEAから時短課金要素のある基本プレイ無料タイトルとして作ることを指示される。過去の人気IPを課金要素だらけの楽しくない作品として作ることになったのだ。リリースされればファンや批評家から批判されることをわかっていながらも仕事としてゲームを作り、リリース後は「開発者が自殺しないかな」などネット上でゲーマーの心無い言葉に晒されることとなる。その後ミシック社は閉鎖された。

 

笑えるエピソードも1つ抜粋しておく。ゲーム開発者を夢見るザック・ムンバックは高校卒業直後、インターネットで好きなゲーム会社の住所を調べていた。

ザック・ムンバックが好きだったゲームの多くはEA社が開発して発売していた。そのEAの本社はレッドウッドショアーズという地区にあった。自宅から車でたった30分ほどの距離だ。「襟がある一番良いシャツを着た。そんなのを持ってたんだよ。そうしてEAまで運転して行ったんだ」と彼は思い出す。「正面入口から入って警備員室に歩いて行き、『こんにちは、就職の話で来ました』と言ったんだ」。すると、ムンバックの記憶によれば、人が大勢いる部屋に警備員が案内してくれた。偶然にも新規スタッフの入社日だったのだ。人事担当者が必要書類を手渡す際、ムンバックに名前を尋ねた。「『はい、ザック・ムンバックです』って答えたよ」と彼は回想する。「そうしたら担当の人が『すみません、リストにお名前がないですね』と言って、僕の名前をリストに加えて書類をくれたんだ。別にだましたわけじゃないよ。それで書類に記入して、当日からQA部門でテスターとして働くことになった。要するに、勘違いで入社しちゃったんだ。そんなすごい間抜けな話があるかと思うかもしれないけど、実際に起こったんだよ」

 

『リセットを押せ:ゲーム業界における破滅と再生の物語』p.186

こうした経緯でQAテスターとしてEAに入社したムンバックは直後に高校時代の友人の窃盗事件の捜査妨害で裁判所から自宅拘置命令を出される。足首にGPS監視装置をつけられ自宅と職場以外での行動を制限されたムンバックは親との関係が良好ではなかったので自宅を避け、寝る時以外職場で過ごすようになる。拘置期間が終わったあともそのまま働けるだけ働いたムンバックは、その姿勢を評価されプロデューサーまで出世。後に『デッドスペース』シリーズや『バトルフィールド ハードライン』といったタイトルに関わることとなる。

 

著者の前作『血と汗とピクセル:大ヒットゲーム開発者たちの激戦記』ではAAAタイトルから個人開発のインディーまで様々な大ヒットゲームの開発の舞台裏、苦労話を中心に「何故ゲームを作るのは困難なのか?」「クランチといった長時間労働は何故発生するのか?」を扱っていた。対して今作は大規模レイオフやスタジオの閉鎖がテーマだ。章ごとに一本の作品を扱っていた前作と違い、1つの章の中で複数のタイトルやスタジオが出てきたり、章をまたがって出てくる人物が存在する。そこで各章のスタジオの相関図を出版元が公開している。読む際に活用すると良いかもしれない。

 

 

また『血と汗とピクセル』は原著が出たのは5年も前ではあるものの『ウィッチャー3』のCD Projekt RED、『アンチャーテッド4』のノーティードッグ、『ドラゴンエイジ:インクイジション』のバイオウェアといったタイトルとスタジオを扱っており、その後の各スタジオの紆余曲折を踏まえて今読むのも非常に味わい深いだろう。*1 本全体の構成的にもこちらのほうがとっつきやすいと思う。目次を見て気になるタイトルがあれば是非こちらも読んでみて欲しい。

 

 

 

※原書『Press Reset: Ruin and Recovery in the Video Game Industry』の発売の3カ月後、本作に出てくる38 Studiosの元従業員は未払いのままだった給与の一部を9年越しに受け取ったという。

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*1:それぞれ後に『サイバーパンク2077』、『The Last of Us Part II』、『ANTHEM』といったタイトルで再びクランチを繰り返している

映画『アンチャーテッド』見てきた。

アンチャーテッド』見てきた。とても良かった。

何が良かったかというと、まずこの映画が映画としてきちんと完成して、ゲームの映画化としてもいい感じのものになっていたこと。というのも映画『アンチャーテッド』には、

 

  • この映画が所謂「映画的なゲーム」の映画化である
  • 映画化が発表されてから実際に制作され、公開されるまで非常に長い時間がかかっており企画自体が難産であった

 

という2点の懸念事項があった。

 

まず、「映画的なゲーム」の映画化という点。アンチャーテッドシリーズは「PLAYする映画」というキャッチコピーからも分かるように、ビデオゲームという媒体でインディージョーンズのようなアクション・アドベンチャー映画を志向した作品だ。こうしたゲームとその元ネタとなった映画の最大の違いはビデオゲームは映画と違いインタラクティブなメディアである、つまりただ受け身で見るのではなく自分で実際にキャラを動かしたりプレイしたりするという点にあり、アンチャーテッドシリーズの魅力ひとつは大作娯楽映画のような大スペクタクルのアクションシーンを実際に自分でプレイできることにある。これを映画化するとなると「自分でプレイできない”PLAYする映画”」という本末転倒なことになってしまわないか?という懸念がどうしても発生する。この懸念はトレーラーで飛行機でのアクションシーンが公開されることでさらに強くものとなる。

 

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というのもこのシーン『アンチャーテッド3』の有名なシーンの再現であり、その『アンチャーテッド3』のシーン自体も映画のオマージュだからだ。

 

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※『アンチャーテッド3』と『007/リビング・デイライツ』の比較動画

 

ただただ原作ゲームを再現しただけの映画だったら原作ゲームをやったほうが良いし、飛行機でのアクションシーンのある映画なら原作の元ネタとなった『007/リビング・デイライツ』がすでにあり、その現代版アップデートとしてもトム・クルーズがすごいのを体張ってやっている。*1 こうなると作品としての立ち位置が中途半端になってしまいかねない。端的に言って元ネタの劣化コピーとなる可能性がある。

 

次に映画公開まで非常に長い時間がかかったという点。実はアンチャーテッド映画化企画は最初の発表が2009年と10年以上も前だ。当時、デイヴィッド・O・ラッセルが監督、マーク・ウォルバーグが主人公のネイトことネイサン・ドレイク役と報じられていたが後に監督が降板。以降何人もの監督の起用と降板を繰り返すことになる。最終的にトム・ホランドソニーに若きジェームズ・ボンドを描いた007のオリジン映画の企画をソニーに持ちかけたことをきっかけに、*2 トム・ホランド演じる若いネイサン・ドレイクを主人公とし、『ヴェノム』のルーベン・フライシャーが監督、マーク・ウォルバーグはネイトからその相棒のサリーへと役柄を変え、ついに制作されることになる。そしていよいよ撮影が始まったというところでコロナによる撮影中断が発生する。*3

 

こうした紆余曲折があったので公開までこぎつけただけでも感慨深いものがあると同時に大きな不安もあったわけだが、冒頭で述べたようにそれも杞憂だった。飛行機のシーンのような原作再現だけに終わらず、「空を飛ぶ海賊船」といった原作の荒唐無稽で過剰なノリを持ち合わせつつ、原作では見られなかったシチュエーションを映画で見せてくれた。映画『アンチャーテッド』は一本の映画としてきちんと面白いと同時に、原作のシリーズの要素を掻い摘んで2時間分の映画として換骨奪胎し、ネイトのジョークや過剰なシチュエーションといった”アンチャーテッドらしさ”をきちんと持っていた。よく言えば手堅く、悪く言えば無難で突出した部分のない映画ではあるかもしれないが、ゲームの映画化としては及第点だ。原作との設定の差異やサリーのキャラが違うといったことを思うファンもいるかも知れないがさっきも言ったように映画とゲームは別の全くメディアだ。なので映画でゲームのストーリーを再現しても仕方ないし、この映画が若きネイサン・ドレイクのサリーとの出会いを描いたオリジンストーリーであることを考えるとサリーの描写も妥当だろうと思う。主演のトム・ホランドもネイサン・ドレイクの若い頃を見事に演じていると感じると同時に、この映画の企画がジェームズ・ボンドのオリジン物をとして動き出した経緯を考えると高級スーツとマティーニのくだりが微笑ましくも思ってしまう。ノーティードッグのスタジオロゴのステッカーがちらっと映ったり、原作でのネイサン・ドレイク役のノーラン・ノースのカメオ出演といった原作ファンがニヤリするシーンも多い。

映画では原作ゲームのネイトのテーマが2度ほど流れる。1回目はノーラン・ノースのカメオ出演でアレンジが、2回目はトム・ホランド演じる若きネイサン・ドレイクがガンホルスターを着けて原作のネイトと同じルックになったところで満を持して原作のNate's Theme 3.0がそのまま使われる。

open.spotify.com

原作の曲が、それも1や2、4ではなく3のバージョンが映画館で流れるというのは原作ファンとして非常に嬉しかった。*4

原作というと原作のファンはこの映画を字幕でなく吹替で見たほうが良いかもしれない。自分は字幕で鑑賞したが、ゲームは吹替で慣れ親しんだ人も多いだろうし、原作吹替でネイトを演じた東地宏樹が同じくネイトを演じたノーラン・ノースの吹替を担当しているらしい。*5

 

これを書いてる今現在『アンチャーテッド』はロッテン・トマトで批評家評価で39%、オーディエンススコアで90%となっており、北米市場での興行収入も事前の予測を超えて好調なものとなっている。*6 批評家からの評価はともかく、観客からの評価も高く商業的にも成功しそうだ。

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Uncharted - Rotten Tomatoes

監督や出演者は続編に乗り気なようなので、続編の制作もあとはソニーがGOを出すだけに思える。もしも続編が実現するならその時は倒壊する建物の中での滑りながらの戦闘やネイトが飛び移ったり、ぶら下がった場所が次から次へ崩れていくという原作のお決まりを原作ファンへの笑いどころとしてやって欲しいなと思う。

 

 

 

*1:ちなみに『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』のアクションシーンはアンチャーテッド3にインスピレーションを得たと監督が語ってる。

Mission Impossible: Rogue Nation director cites Uncharted 3 as an inspiration • Eurogamer.net

*2:トム・ホランド、『007』若きボンドの映画企画を持ち込んでいた ─ 断られるも、あるミラクルを起こす | THE RIVER

*3:とはいえこの撮影中断は何も悪いことばかりではなく、マーク・ウォルバーグとの並んだ時に自分があまりに細く見えることを気にしたトム・ホランドは、この間トレーニングを積み身体を仕上げることに専念したそうで、実際に映画劇中で鍛え上げた肉体を披露する場面ではあまりにムキムキぷりにちょっとビックリした。

*4:ところでこのシーン、原作ファンとして非常に感動的であると同時にちょっと笑ってしまった。というのもこの映画でネイトはほぼ銃を使わずこのシーンに至るまでも敵に対して明確に殺意を持った攻撃をほとんどしてこなかった。それがガンホルスターを着けて銃を撃ち始めた途端原作のテーマが流れ出すのだ。原作ゲームにおいて「ネイサン・ドレイクは人を殺しすぎでは?」という批判を度々されてきたのもあり銃と暴力がネイサン・ドレイクの本質と語っているようでおかしくてしかたがない。

*5:しかしながら字幕に比べて吹替版の上映回数が少ないように感じる。ゲームが原作であることを考えると吹替のほうが需要が多そうなものだが……。パンフレットや劇場グッズがないのも寂しい。次回作があればその時はドレイク卿の指輪ネックレスとか十字架のペーパーウェイトを劇場のグッズ売り場で売って欲しい。

*6:CNN.co.jp : 映画「アンチャーテッド」、北米興収50億円で市場予測上回る

2021年に見た映画・ドラマ、遊んだゲーム

例年だと年も暮れてきたら今年の映画ベスト10とかTwitterのほうでやるわけですが、2021年はコロナ禍で新作を見た数がそもそも少なく、だったらこの際順位とかつけずに全部簡単に感想を残しておこうという趣旨のエントリです。映画・ドラマは2021年に劇場、配信で見た新作、準新作を、ゲームは発売年に関係なく2021年に遊んだゲーム中心です。

以下お品書き

 

映画


シン・エヴァンゲリオン劇場版

率直に言ってめちゃくちゃ良かった。エヴァQで「世界を崩すことは造作もない。だが、作り直すとなるとそうはいかん。時と同じく世界に可逆性はないからな」と語っていたのがシン・ゴジラの「スクラップアンドビルドでこの国はのし上がってきた。今度も立ち直れる」を経て、ニアサーから立ち直ろうとする第三村の復興描写を入れるの素直に良かったなあとか、シンジとアスカが「昔好きだった」と互いに伝えあってそれぞれ前に進むの、あの二人の着地として本当に良かったなとかとかとか。ラストシーンの実写空撮映像もアニメーション(虚構)と現実が混じり合っていて、そこにCGで再現された太陽家具のビルや電車と監督の好きな物が映し出されていて、「現実にだって良いものはあるし悪くないよ」という肯定的なものになっていて良かったです。(丁寧に台詞で「さよならはまた会うためのおまじない」と言った上で「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」と言ってるのに、あのラストを「現実に帰れ」とか「大人になれ」とか「アニメなんか卒業しろ」と否定的な上からのメッセージないし説教と受け取ってしまう人がそれなりに居るのは本当にびっくりしました。)

この辺に話は『監督不行届』巻末の庵野秀明により作品解説を読むと、TVシリーズや旧劇当時できなかったことをやり遂げたんだなあという感じで感慨深いです。

嫁さんのマンガは、漫画を読んで現実に還る時に、読者の中にエネルギーが残るようなマンガなんですね。呼んでくれた人が内側にこもるんじゃなくて、外側に出て行動したくなる、そういった力が湧いてくるマンガなんですよ。現実に対処して他人の中でいきていくためのマンガなんです。嫁さん本人がそういう生き方をしているから描けるんでしょうね。『エヴァ』で自分が最後までできなかったことが嫁さんのマンガでは実現されていたんです。ホント、衝撃でした。

 

それと「アナザーインパクト」「アディショナルインパクト」「生命のコモディティ化」とアホみたいな台詞を乱れ打ちして、しまいに北上ミドリが劇中台詞として巨大綾波に「ゼッタイ変!」とツッコミ入れていたのがとても愉快で良かったです。

伊藤計劃も「たぶんエヴァの悲劇、エヴァの弱さというのは、は巨大綾波を観て「うははは、でかすぎだろそれ!」と笑ってくれる観客があまりにも少なかったことにあるのじゃないか。」*1と書いていたけれど、作中で北上ミドリがツッコミ入れてくれたよ。やったね!

あと洞木ヒカリさんのことを長年男の趣味がめちゃくちゃ悪いとか思っててマジですいませんでした。

ガールズ&パンツァー 最終章 第3話

面白かったけど完結までいくらかかるんだこのシリーズ。

最終章 第4話はたぶん3話のラストで昏睡状態に陥った西住みほが目を覚まして「9年眠ってた」とか言われるとか眠ってる間に14年経ってて河嶋先輩の妹から「戦車にだけは乗らんでくださいよ!」とか言われるんだと思う。

ラブ&モンスターズ

面白かった。この手のNetflix映画にしては面白い(失礼)と思ったら、これ日本国内ではNetflix独占配信なだけで元はパラマウントの劇場公開作品なんですね。映画館で見たかったな……。

オクトパスの神秘:海の賢者は語る

第93回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門受賞作品。

タイトルからタコの生態にせまる自然科学系ドキュメンタリーかと思いきや、実態はおじさんとタコの交流を通して描かれる一人の男の人生の再生の物語。なんだそれは

ゴジラVSコング

脚本段階で存在していたらしい「渡辺謙の愛情を一身に浴びた“憎き兄”であるゴジラに、小栗旬がクソデカ感情をぶつける小栗旬ゴジラのBL」が見たかったです。(編集の段階で設定変更になったらしい)

それはともかく劇中の陰謀論の描写がポスト・トゥルースだのフェイクニュースだのといった今の御時世においてあまりにも無邪気で無責任だなと思いました まる

トゥモロー・ウォー

見たはずなんだけどまるで記憶にない。正確に言えばストーリーも映像もしっかり思い出せるんだけど面白かった記憶がないのでたぶんつまんなかったんだと思う。

ノマドランド

見て面白かったはずなんだけどあまり記憶にない。

エターナルズもそうだったけど自然光使った野外での撮影が本当に綺麗ね。

シャン・チー/テン・リングスの伝説

面白かった。

突然ホテル・カリフォルニアを歌うのピーター・クイルのダンスバトルとやってることがほぼ同じな気がする。

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ジャスティス・リーグザック・スナイダーカット

長い。長過ぎる。

独特のケレン味みたいなものがどうにも肌に合わなくてザック・スナイダー作品て好きじゃないんだけれど、ジェレミー・アイアンズベン・アフレックのアルフレッドとブルース・ウェインはもっと見ていたかったな……。

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

ほとんど事実上の実写版メタルギアソリッド。MGS各シリーズ作の色んな要素をうまいこと掻い摘んで一本の映画にしていたのでとても良かったです。(?) ……全然関係ないところでジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督の超えなきゃいけないハードルが上がった気がする。

あと敵の使った生物兵器が序盤の描写とか説明を見るにエボラウイルスを兵器化したものぽいんだけど、中盤以降の説明ではナノボットという事になっていて、作ってる途中でコロナ禍があって設定変更になったのかなと思いました。映画作るって大変だね!

恐怖のセンセイ

2021年にNetflixで見たおちんちんが無修正でぼろんする映画その2。*2

ファイト・クラブへの20年越しの返し歌みたいな映画なのでペニスがボロンするのもそういう意図なのかな?と思ったり。(本当か?)

どうでもいいんだけど、ラストで「道場心得10 有効なものは使え」と言って銃を使うかと思ったら全然そんなことなかったのでびっくりしてしまった。

悪魔はいつもそこに

最高にスレたトム・ホランドが見られてよかった。

スパイダーマンでの高校生役のイメージが強いけど、もう25歳だしもっとこういう色んな役をやって欲しいですね。良い役者だと思うので

最後の決闘裁判

男にとって女は土地や馬と同じような所有物であり、妻が性的暴行を受けたことも彼にとっては自分に恥をかかせた相手へ決闘を申し込むための口実でしかなく、当事者であるはずのマグリットは最後まで蚊帳の外でありトロフィーでしかない……という本当にしんどい映画。

見た直後はこう思ったんだけど、あとから他人の感想に触れると「第二幕と第三幕の暴力表現の違いがわからなかった」みたいなことを言う人が居たりして、あれだけはっきり描いていても伝わらん人には伝わらんのかと本当にクラクラした。こわい

ブラック・ウィドウ

以上。

フリー・ガイ

作中のゲームがとにかく面白くなさそうだし、最近のオンラインゲームの収益構造を理解していなさそうな脚本とか現実世界のPCに映ってるゲーム画面がスマホゲーの広告みたいとか「ああ、そういう認識なのね……」という感じで非常に不愉快。ビデオゲームを話のネタとして利用しておいて実際のビデオゲームの文化やそこのコミュニティのほうを向いておらず理解と敬意がないという意味で、ハリウッド映画でアジアやロシアの描写がいい加減なのと同じ程度には良くないと思う。

そもそもフリーシティの元ネタのひとつは明らかにGTAなんだけど、実際の本家本元のGTAは映画の中とは真逆で延々とGTAオンラインのアップデートをしていて一向に続編を出そうとせずファンからせっつかれているとか、今どきのオンラインゲームはアイテムや装備、エモート等の課金で利益を上げるビジネスモデルであって作中の「利益のために突貫工事でアカウントの引き継ぎができない続編を出す」という展開がどう考えても無理があるとか、ビデオゲームが映画業界から続編大作批判される筋合い無いよなとか、ディズニーがスターウォーズ買収して突貫工事でスカイウォーカーの夜明けみたいな映画をリリースしたのは、あの映画のタイカ・ワイティティのしたことそのまんまだし、それをディズニーの威光を借りて作中でライトセーバー出すとかどういう神経してるんだろうとか、ゲームはインタラクティブであることが大事だと思ってるのであのオチも「それはゲームじゃなくてバーチャルリアリティショーじゃない?」とかとかとか、文句をつけ出すと切りがないのでこのへんで……

エターナルズ

一般的な大作娯楽映画における異性愛と同じ扱いで同性愛を描くとか、ただ単に第一言語アメリカ手話なだけの普通人としてろう者のヒーローを出すとか、特別扱いするわけでなくただただ当たり前に世界に存在するものとしてそうした人々を描いているのが非常に好印象。自然光や野外にこだわった撮影がそうしたありのままのの美しい世界を描くという姿勢ともつながっていて巧いなあと思った。

バクラウ 地図から消された村

2021年にNetflixで見たおちんちんが無修正でぼろんする映画その3。

あんまり前情報入れずに見たので唐突にUFOが出てきたときは変な声が出た。思いの外面白かったので良かった。

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

最高の映画。映画館で見られなかったのが惜しい。

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ

ラブリーな映画。

エディ・ブロックとヴェノムを一人二役で演じつつ自らあの脚本を書いたトム・ハーディ何?

ラストナイト・イン・ソーホー

2021年ワースト。最後まで見た上での感想としては確かに「面白かった」なんだけど、面白かったからこそ問題というか上映中の2/3くらいの時間ずっと苦痛と恐怖に満ちていて精神的にそうとうストレスフルだったし、こういうタイプの恐怖をホラーとしてパッケージングして売るの普通に駄目だろうと

マトリックス レザレクションズ

当初の文脈を外れ陰謀論オルタナ右翼インセルに利用された『マトリックス』を監督が自らの手に取り戻すための極めてパーソナルな映画であり、ありえないレベルのハイコンテクストムービー。

とても良かったのでブログに感想とか書くかと思いつついまだ書いてない。そのうち気が向いたら……

モンタナの目撃者

面白かったんだけど、あまり深いこと考えずにボーッと見ていたので面白かった以上の感想が出てこない。

それにしても最近は劇場公開から配信まで短いね……。

ドント・ルック・アップ

めちゃくちゃ面白かった。無関心、冷笑、見て見ぬ振りについての話。

地球温暖化やコロナ禍、トランプ政権下での科学軽視あたりまではみんな当然連想するとして、そこから先どこで何を連想するかは人によって幅がありそうで人の感想を聞くのが面白い映画だと思う。ちなみに私は「温暖化のおかげで米が美味しくなった」と発言した政治家や土用の丑の日のウナギの大量消費を始めとする日本の水産資源問題を想起したりしました。

 

ドラマ

 

ワンダヴィジョン

2021年のがっかり・オブ・ザ・イヤー。

エヴァン・ピーターズのクイックシルバーをあんな形で雑に使い捨てて欲しくなかったし、最終的なワンダの処遇とアガサへの仕打ちが納得行かない。

とはいえリアルタイムで見ていて毎話盛り上がったりしていたのが楽しかったのも事実。……なんか悪い意味でJJエイブラムスのドラマみたいだ。

ファルコン&ウィンター・ソルジャー

悪くはなんだけど非常に惜しいというか、せっかくドラマで尺があるんだからもう少し丁寧に消えた人たちが帰ってきたことでどのような社会問題が発生したのか?アメリカ国民をはじめMCU作中の人々にとってキャプテン・アメリカとはどういう存在だったのか?というのを描くべきだんじゃないかなと。いきなり40億近い人々が帰ってきたことで食糧とか資源の奪い合いが発生してあちこちで治安の悪化や紛争が起きて難民が大量に発生し、先進国の中から世界再定住評議会が発足してきて武力による移民の強制送還等を行い、そうしたなかでフラッグスマッシャーズが台頭してきたり、キャップ待望論が出てきたり……というのを1話の冒頭OPでニュース映像やSNSモンタージュとして入れていれば、それだけで話の導入とかフラッグスマッシャーズの人たちの立場での切実さとかが伝わりやすくてぐっと良くなったし、ラストでのサムのスピーチが生きてきたと思うんですよね。コロナで伸びる前の元々の配信予定が20年の夏だったわけでラストのサムの演説も11月に控えたアメリカ大統領選挙を意識していたはずで、難民を犯罪者呼ばわりして国境に壁を作ろうとしたり、環境問題をでっち上げだと言っていた人たちに対する明確なメッセージだったであろうことを考えると、エンドゲームの出来事の結果、世界情勢がどうなって、どういう経緯で世界再定住評議会という組織が生まれて、具体的に何をやっていたのか?(難民の側からどう見えていたのか?)というのはもうちょっと丁寧に扱って欲しかったなあと思います。

キャプテン・アメリカ4』楽しみだなぁ……。

ラブ、デス&ロボット シーズン2

『聖夜の来客』がお気に入り。

シーズン3では『From the Nothing,With Love.』をやって欲しい。

ロキ

めちゃくちゃ面白かった。

今後のMCUでのジョナサン・メジャーズの活躍が楽しみですね。

真夜中のミサ

面白かった。事前に情報を入れないでみたので途中で「え、これそういう話!?」ってなった。本作をカルトを描いた作品としてミッドサマーと比べるツイートを見かけたりしたけど、『真夜中のミサ』はカルトそのものや宗教、信仰の話ではなく、「自らの都合の良いように教義を捻じ曲げるな」*3という話だと思ったのでミッドサマーとはまたちょっと違うよなあと自分は思った。

イカゲーム

6話がとても良かった。良かったが、そのあとVIP出てきて以降急速に失速し、特に「人の命をかけたデスゲームを娯楽として楽しむ悪い金持ち」の描写がびっくりするくらい貧困だったり、デスゲームの主催者側の設定とかあまり深いこと考えてないんじゃないかという感じがしてどんどん尻すぼみに。シーズン2が来ても見ないと思う。

カウボーイビバップ(Netflix実写版)

それなりに金をかけて作っているはずなのに完成品のビジュアルがとにかくチープ。ただこれは、元々カウボーイビバップは西部劇とかSFとかの映画”ぽいやつ”をアニメでやっているところに一つの魅力があって、それをアニメじゃなく実写でそのまんまやると”ぽいやつ”じゃなくて単なる”コピー”になってしまうという問題があり、そこに対するソリューションとしてあえてB級ぽくチープ感を出すことで”ぽいやつ”をリバースエンジニアリングで再現しようとしたんじゃないかと思う。原作が好きすぎるあまり原作の持っていた”本物ぽさ”までどうにか実写で再現しようとしたんだけど、そもそも原作は本物を目指した結果として副次的に”ぽさ”が発生したのであって最初から”ぽさ”を志向していたわけではないし、最初からぽさを目指した作品が上手くいくはずもなく……という風に見える。キャラの掛け合いは面白かったし、やり方が拙いながら原作が好きなのは伝わってくるのでどうにも嫌いになれない。というより割と楽しんでみていた気がする。でも、最終話の最後まで見た感想としてシーズン2は別に良いかな……。

地獄が呼んでいる

面白かった。構成が良くできていると思う。

メディアで報道されている事件の犯人だったり、炎上した人だという誤情報が流されて全く無関係の第三者が攻撃されるみたいなのどこの国でもあるんだろうなみたいなことをぼんやり思った。

シーズン2楽しみだけど、話がどう転がるのか全く予想がつかないな……。

ホークアイ

あまり期待せずに見たらまずまず面白かった。

3話の長回しアクションシーンやキャラ同士の会話シーンがとても良かった。一方でこれを見ると今までMCUホークアイって全然きちんとキャラが掘り下げられてなかったよなあとも。

あとデアデビル見なければ

 

ゲーム

 

The Witness

合う合わないが非常に激しく分かれそうなゲーム。

観察してパターンや法則性を見つけるのが楽しいタイプの人は好きそう。

このゲームの楽しいところはパターンやルール、解法に気が付いた瞬間の快楽にあると思っていて自分はそれを結構楽しんでいたんだけど、ゲームの終盤に入って山の中に入った瞬間「ルールも解法もすで分かり切ってるのにただただ視覚的に見づらくしてるだけ」みたいパズルがぞろぞろ出てきて本当に心底ガッカリした。

あと遊んでてすごい酔う。(設定で視界を100にすると多少マシにはなったが……)

DAYS GONE

明るいところと暗いところで主人公の瞳孔の大きさが変わるという狂気じみた謎の作り込みが見られるゲーム。そんなん言われないと気づかないよ……。

細かすぎて伝わらないビデオゲームの作り込み選手権があったらぶっちぎりで優勝だと思う。

 

売りの大量のゾンビ戦も結構面白い。

また、ゾンビ以外の人間の集団相手の戦闘もゾンビの粉を仕込んだ矢を打ち込んで同士討ちさせるみたいな戦略が取れたりして、これもわりと楽しい。

 

オープンワールドで自分好みにカスタマイズしたバイクに乗ってカスケード山脈の火山が作り出した壮大な地形や溶岩トンネルを見て回ったり、流れ星を見たり、オレゴン大自然を満喫できるのも良い。

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フォトモードで遊べるゲームはいいゲーム/『DAYS GONE』

 

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こういう史跡があったりもする。/『DAYS GONE』

ストーリーでは頻繁に暗転でのロードを挟んだ細かいムービーが挟まる場面があったりするのが難点。最終決戦前にこれまで出てきたキャラが助けに来てくれる展開がありこれがとても良かったのだが、あとで調べると各キャンプの信頼度を上げておかないと発生しないイベントだったらしい。

 

エンディング後にストーリーを100%まで進めると最後の最後のエピローグで唐突なクリフハンガーが発生する……が続編がキャンセルになってしまった。発売日に買わずにフリプで遊んでいるのであまりこういうことを言える立場でもないんだけど*4、Bend Studioは次回作の新規IPの次にでもDAYS GONE 2を作って欲しいな……。まあ、その決定権を持ってるのはBend StudioではなくSIEなわけですが……

ゼルダの伝説 スカイウォードソードHD

2011年発売の作品のHDリマスター版。開発はWiiU版『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセスHD』に引き続きオーストラリアのTantalus Media。いわゆる3Dゼルダとしてはブレスオブザワイルドの前作にあたり、今あらためて遊ぶとこれの反省会を経てブレスオブザワイルドが出来たというのがよくわかる。

まず良い点としては、コントローラーがオリジナル版のWiiリモコンプラスからJoy-Conになったこと。これによってコントローラー自体の重量が軽くなった。モーション操作で実際に剣を振るようにしてプレイするゲームのため、これが地味に大きい。そしてモーション操作自体のレスポンスも良くなり、フレームレートが60fpsになったことでゲームプレイの快適性が大幅に改善された。次にオリジナル発売当時から指摘されていたチュートリアルが一部簡略化されたこと、UIがよりスッキリした見た目になったこと、テキストの表示速度が早くなったといった細かい改善を挙げたい。

一方、フィールドを移動のためだけの空間ではなくダンジョン内と同じような遊びの場としようとした結果、フィールド内でもダンジョンでもずっと同じような謎解きやアスレチックをやることとなり、これがゲーム全体のリズム、緩急の面での単調さを招いている。各フィールドが繋がっておらず、一度空を経由しないと移動できないのも閉塞感を感じさせ、世界のつながりや広さ、冒険してる感という意味でマイナスに働いてしまっている。時のオカリナで初めてハイラル平原に出てきて遠くにデスマウンテンが見えた瞬間やゲームを進めて実際にデスマウンテンの山頂にやってきて「ここまで来た!」と感じるような体験は今作にはない。ロフトバードに乗っての空中での移動も同じような景色が広がるスカスカ空間を移動するだけのものになってしまっている。また、簡略化されたといえゲーム開始時のチュートリアルは今遊んでも非常に長く感じる。

ゲーム進行に関しては、ほぼ一本道のリニアなゲームであり、シリーズ随一のストーリー主導型の作品と言える。幼馴染のゼルダをはじめ、リンクを一方的にライバル視するバドなどのキャラクターも個性豊かだ。

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バド。自らが選ばれし勇者でないことを悟って以降、自らにできることを考え行動していく、このキャラが今作で一番好きかもしれない。初めの方めちゃくちゃキモいけど……
『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』

 

こうした点を踏まえてスカイウォードソードと今現在のシリーズ最新作であるブレスオブザワイルドを比べると同じシリーズ作でも全く逆のアプローチがされていることがわかる。ブレスオブザワイルドがオープンワールドでダンジョンの攻略順や目的地までのルート等の選択の自由度がとにかく高く、反面ストーリーが希薄な作品だったのに対して、スカイウォードソードはリニアで攻略順の自由度とかほとんど無く、シリーズ随一のストーリー主導型のゲームとなっている。このことからブレスオブザワイルドで初めてゼルダの伝説を遊んだというプレイヤーが本作を遊ぶと少々面を喰らうかもしれない。今作の長いチュートリアルのような「ゼルダの当たり前」を見直すことでブレスオブザワイルドという傑作が生まれたのだから。

 

藤林 『スカイウォードソード』のときの話になりますが、あの作品では空から下界に降りるときに、ロードが入ってしまったんですよね。これがシームレスにつながっていたら、上空から下界の人を見つけて、「あそこで事件が起こっているから行こう!」といったことができたんです。実際、企画段階ではそんなネタがあったのですが、実現できなかった。そういういままでシリーズでやりたいけどできなかったことを、今回ならできるよね、といって作っていったというのはありますね。

 

www.famitsu.com

ブレスオブザワイルドのオープンエアーは今作でできなかったことの再挑戦でもある。2022年発売の続編では再び大空が舞台となるようなのでどのようなものになるか期待したい。

 

www.youtube.com

 

批判点ばかり述べてしまったがスカイウォードソードは決して悪いゲームではない、剣を振る操作も慣れてくればなかなか面白いし、謎解きやストーリーも楽しい。砂漠ステージの「時空石」のギミックはオリジナルの発売から10年経った今プレイしても非常に良くできている感じた。また、ブレスオブザワイルドをプレイした人は今作のロケーションがブレスオブザワイルドにも出てきていることにも気がつくだろう。

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限定版のJoy-Conamiiboが非常に良かった。

 

 

 

すばらしこのせかい-Final Remix-

2007年発売のニンテンドーDSアクションRPGのSwitch版。独特のアートスタイルとDSのソフトとしては異例のボーカルBGM多数収録、二転三転するストーリーが魅力。

14年ぶりの新作が出るのでおさらいと追加エピソード目当てで購入。

このゲーム、オリジナルがニンテンドーDSであり、そのスマートフォン移植版のNintendo Switch移植版ということで、正直操作面がかなりとっつきにくい。Joy-Conのジャイロ操作を使ったポインターとボタン操作でタッチパネルを使ったバトルシステムを再現しているので慣れるまで非常に苦労する。

ストーリーは当時のままだが今やっても面白かった。

すばらしきこのせかい

独自のアートスタイル、多彩で魅力的なBGM、先の読めないストーリーなど前作の魅力的なポイントをしっかりと引き継ぎつつ、現代的に洗練された14年ぶりの新作。

前作のアグレッシブなタッチ操作をボタン操作へと落とし込んだ最大6人のパーティメンバーを同時に操作するバトルシステムや街の人々の相関図となっており「渋谷には色んな考えの色んな人たちが居て、それこそがこの街の魅力である」という前作からのテーマを体現するスキルツリーなど随所からスタッフの前作愛が伝わってくる。

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細かいところでの前作ネタも/『新すばらしきこのせかい』

自分と他人という前作のテーマを踏襲しつつ、インターネットやSNSでの他者とのつながりの良い面悪い面を描いたり、今風にアップデートした上で更に話を押し進めた。ストーリーのメッセージも良かったです。

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『新すばらしきこのせかい』

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お気に入りのモトイ構文/『新すばらしきこのせかい』

BGMでは『NEW GAME』、『Hustle and Bustle』、『INCONGRUOUS』、『World Is Yours』がお気に入り。

 

ところでこのゲーム、前作からの熱心なファンほど「絶対に前作から遊んで!」と言ってしまいがちである。しかしながらタイトルが『すばらしきこのせかい2』ではなく『新すばらしきこのせかい』であることからもわかるように、新規ユーザーが遊んでも問題なく楽しめるように作られており、その上で前作も遊んでみたくなるようになっている。

ディレクター伊藤寿恭氏のツイート

 

前作の内容を知りたければアニメ版を見るという手もある。

subarashiki-anime.jp

前作から遊んで欲しいという気持ちはよく分かるし、愛ゆえであろうが新規ファンになるためのハードルをむやみに高くするのは作品にとっても良くないし、自分も気をつけなければなあと思うところである。

また、ストーリーもどこがどう良かったのかを話すとネタバレになりかねないので、そういう意味でも他人に勧めるのがかなり難しいゲームといえる。もしも未プレイで気になっている人がいれば是非軽い気持ちで今作からプレイしてみて欲しい。体験版もあるので

store-jp.nintendo.com

store.playstation.com

※自分は前作のSwitch版と揃えたかったのでSwitch版を買ったがfpsやロード、激しい戦闘でのボタンの押しやすさ*5を考えるとPS4版のほうが良いかもしれない。

NieR:Automata

アクションゲームとしてさわり心地も非常によく、BGMも素晴らしい。ストーリーも悪くない……と思う。

なにか駄目なところがあったかと聞かれると特にはないのだが、何故だか最後までお話を一歩引いた目で見てしまいのめり込めなかった。「こういう展開がやりたくて逆算してキャラや設定、ストーリーを作ってるんだろうなあ」とか余計なことを考えてしまい終始心から楽しめなかった。まあ、そういうこともあろう。

 

ところでディレクターのWikipediaを見ると「(プレイヤーが作品に触れる際にバイアスが掛かってしまうと思うので)制作者の姿がメディアに出ることをあまり好まず、メディア露出をする際は被り物を被る」というようなことが書いてあった。自分からするとそうやって変な被り物を被った姿をメディアに晒すほうがよっぽど「変な人 or 変な人だと思われたい人/自己演出過大な人の作ったゲーム」というかなり良くないバイアスがかかると思うのだが……。

 

……ここまで書いてて思ったけど自分がこのゲームを楽しめなかったのは、単に「ゲームを作った人の印象があまり良くなく、遊んでる間ずっとクリエイターの顔が浮かんできていたから」くらいの話な気がしてきた。ゲームの感想というよりWikipediaの記述に基づくクリエイター個人への悪口ですねこれ。(最悪)

Red Dead Redemption 2

ロックスターのゲームってNPC殺してイキってるファンのせいであまり良い印象を持ってなくてなんとなく避けて通ってきてたんですけど、やっぱり食わず嫌いは良くないですね。めちゃくちゃ面白い。といってもまだ全然クリアできそうにないんですが。というのもこのゲーム遊ぶたびにストーリーそっちのけで”生活”をしてしまうので一向にストーリーが進行しないんですよね。朝起きてコーヒーを飲み、馬に乗って狩りにでかけ、キャンプをし、街に行って食事をし、ポーカーをして、酒を飲んで帰ってくる……みたいなことを延々としてしまう不思議な魅力がある。ギャング生活シミュレーションというか、物凄く豪華なごっこ遊びゲームとでもいうような。ギャングをごっこしても良いし、狩りごっこをしても良いし、ギャンブラーごっこをしても良いし、キャンパーごっこをしても良いし、釣り人をごっこしても良いし、賞金稼ぎごっこをしても良い・それぞれの要素がきちんと作り込まれてて懐の深さが本当にすごい。誇張抜きでずっと遊べてしまいそうだし、今のペースだと向こう数年ストーリークリアできない気がする。

発売当時すこし話題になっていたように操作が独特で複雑なんですが操作に慣れてくると、

ホルスターから銃を抜く

銃を相手に向ける

引き金を引く

という一連の行動のタイミングをプレイヤーが完全にコントールでき、これによって「ホルスターに手を伸ばす動作で相手を威圧して引き下がらせる」というようなことが行えて、それがかなり楽しい。

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こんなに共感できる洋ゲーの台詞がかつてあっただろうか/『Red Dead Redemption 2』

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とても好きなやりとり/『Red Dead Redemption 2』

ゼルダ無双 厄災の黙示録 DLC

インパが相変わらずアホみたいに強い。

WiiUの『ゼルダ無双』をかなり良く思ってなかったので*6、『厄災の黙示録』発表当時はやめてくれよ……とやる前から批判的だったがやってみたら思いの外ゲームとしてちゃんと面白かった。ストーリーが実は前日譚ではなく if だったのも自分としてはそっちのほうが本編と切り離して考えられるのでありがたかったです。

Outer Wilds

傑作。全人類プレイしたほうが良い。『星を継ぐもの』が好きな人は絶対ハマると思う。

「記憶を消して一からもう一度遊びたい」みたいなことをよく言うけど、このゲームの面白さは未知のものに対するプレイヤーの探究心・好奇心が原動力となっていて、それ故に本当の意味で記憶を消さないともう2度と初見時の手探り状態のワクワク感を味わえないゲームデザインという、とんでもない一回性を持ったゲーム。すこしでも興味があり今後プレイする可能性がちょっとでもある人は、プレイ動画や攻略情報、ストーリーに関するネタバレは一切見ないことをおすすめします。

ところでこのゲーム、完全に遊べないというほどではないものの翻訳の質がいまいち良くないです。

プロデューサーのマシ・オカ氏によるとSwitch版までには修正するみたいなのでそれを待つのもよいと思う。Switch版が延期したきり続報ないのでいつになるかわかりませんが……。

 

以下DLC『Echoes of the Eye』のネタバレ込の感想

最初に追加コンテンツが発表された時はあの完璧なゲーム体験のどこに何を追加する余地があるのか全くわからなかったし、蛇足にならないか正直心配だったんだけど、いざ遊んだらまぎれもなくOuter Wildsだった。(初めて「流れ者」に入った時は変な声が出た)

本編が「知りたい」という好奇心の話だったのに対して、DLCは知ること、知ってしまうこと、知られることへの「恐怖」とそこからくる「隠蔽」みたいなモチーフが多く出てくるのが印象的。「宇宙の目」がもたらすものを知ってしまった恐怖に始まり、宇宙の目を隠し、スライドリールを燃やしたり……。あと流れ者自体も姿を隠してたね。DLCで出てきた種族(フクロウ?鹿?)は都合の悪いスライドリールを燃やしたりするあたり、あちこちに文章を残していたNomaiとは対称的。そんな彼らに反対して宇宙の目の信号遮断装置を切った彼と対面し、この星系にNomaiがやってきたのも、今こうして主人公がここに居るのも、すべては彼の行動がきっかけで全部繋がっていたんだと分かる瞬間は、ちょっと他では味わうことのできないようなスケールの大きい感動がありました。DLCでこれをだしてくるのだからすごいよホント……。

 

ICEY

ICEY. I see.

ナレーションがプレイヤーへ話しかけてきたりするメタネタゲーム。

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『ICEY』

 

一度普通にクリアしたあと、隠しエンディングの見方がわからず「ははーん。さてはメタネタゲームだからセーブデータ消してナレーションの指示と全部逆のことしたりしたら良いんだな?」となんの躊躇もなくセーブデータ消したら普通にセーブデータが消えたし、隠しエンディングの条件が実績をすべて集めることだったので一度取った実績の取得条件達成し直しが発生したりした。*7

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隠しエンディングの条件に実績取得が関わってくる割に実績にこだわるプレイヤーを茶化したりする/『ICEY』

自分も実績やトロフィーにこだわるゲーマー心理って理解できないというか、無いほうがゲームを純粋に楽しめるくらいに思っていて、あれは足の裏の米粒というか取らないでも死にはしないが、取らないと気持ち悪いし、取っても何の得もないというか。

これを言うと「じゃあ、取らなきゃ良いじゃん」と言われそうだけど、存在するだけで気持ち悪いし、無理に取ろうとするとゲームの思い出が単調な作業プレイに上塗りされたりして本当に嫌なんですよね。あとトロコンしたのにDLCでトロフィーが使いされて取得率が100%じゃなくなるやつなんかもすごく気持ち悪い。

 

……話が逸れた。

 

第四の壁を破るメタネタゲームとは言っても、所詮は人の作ったものであって画面の向こうに本当に人がいてリアクションをしているわけでは当然なく、プレイヤーにやって欲しいことを想定してナレーションが入るし、それに合わせてプレイヤーを楽しませるようなリアクションをナレーターが取るしてで、ある程度プレイしてるとあくまでも”ネタ”であることが見え透いてくるわけですが、このゲームを最後まで進めるとその「メタネタのナレーションが明らかに予め用意されていたものである」という部分までもが更に上からメタ的にシナリオに組み込まれてきて、この辺は非常にうまいなあと思いました。

 

その他

ゼルダの伝説35周年ということでシリーズ全作をちまちま遊び直そう!みたいなことをしたりしていました。まあ、ムジュラの仮面を途中までやったところで止まっていますが……。

 

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ゼルダの伝説

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リンクの冒険

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ゼルダの伝説 神々のトライフォース

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ゼルダの伝説 夢をみる島

 

ブレスオブザワイルドの始まりの台地の噴水、門の跡、時の神殿の位置関係が時のオカリナのものと一致してるという小ネタ。そうすると「東の神殿跡」が時のオカリナ時代のハイラル城の建っていた場所ということになります。遷都したんですかね?

 

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ゼルダの伝説 時のオカリナ

プログラマーが仕事の息抜きで勝手に作った釣りゲームを急遽実装することになってハイリア湖の端の崖に無理やり作られた釣り堀のドア。*8

 

 

2022年はブレスオブザワイルド続編が出るのでそれまでにシリーズ全作遊ぶの再開したいですね。

おわり

小学生の一行日記くらいの雑ーーな感じで短い感想を書いていこうと思ったら1万5千字とかになってしまった。疲れた。

こういうのやってみると面白かったものを言語化するのがいかに難しいか、つまらなかったものの批判点を並べるのがいかに楽か実感しますね。いやそれにしても中身もないのにだらだらと……。

2022年はエルデンリング、ゼルダの伝説、ゴッド・オブ・ウォーと近年のGOTY覇者が集うすごい年です。頂上決戦です。まあ、延期もなく予定発売されればですが。

今年は映画もゲームもインプットとアウトプットをともに増やしたり、何か新しいことをしていきたいなあと思いつつ、上記の大作ゲームを考えると遊んでる以外の時間がないような気もします。

 

 

*1:もののけ姫 - 伊藤計劃記録 はてな版

*2:その1は『ミッドサマー』

*3:「あれは天使。聖書にもそう書いてある」

*4:PS4ゾンビサバイバル『Days Gone』ディレクターが「発売時に支持されなかったゲームの続編は求めないでほしい」と発言。その言葉が出た背景とは - AUTOMATON

*5:Joy-Conで複数のボタンを連打しながらRLボタンを長押しするのが指が痛くなりそうで地味に辛かった。

*6:この話をすると長くなる

*7:セーブデータを消すとセーブデータ内の「実績を取った」という記録も一緒に消えるっぽい

*8:社長が訊く『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』オリジナルスタッフ 篇 その2|ニンテンドー3DS|任天堂