2022年に遊んだゲーム

こんにちは。去年買って良かったものはポットが断熱になってるタイプのコーヒーメーカーとスプラトゥーン3仕様のプロコンです。

 

こうやって書くと年末のブロガーぽい雰囲気が少しでも出ないかと思いましたがまるで駄目ですね。本当は昨年末に書こうかと思っていたのですがもう年も明け年度もまたぎ「今年の4分の1が終わってしまった」とか言ってそこからさらに3週間近く経って4月も下旬です。やばいですね。つまりは『ゼルダの伝説 ティアーズ・オブ・ザ・キングダム』まであと一ヶ月を切りました。楽しみですね。で、なんで今さらこんなものを書いているかというと年末年始に書きかけで放置していたのがどうにも気持ち悪かったのと、Twitterが今現在あんな感じなのでインターネット上でTwitter以外にアクティブな場を作っておこうかなと。なので今後も以前思いついたけど面倒で書いていなかったものをこっちでちょいちょい書いたりするかも知れませんし、しないかもしれません。どちらにしろ生暖かい目で見てください。

 

HADES

敵を殲滅しながら次の部屋へと進んでいき冥界からの脱出を目指すギリシャ神話をモチーフとしたローグライクアクション。進む際、次の部屋クリア時に得られる能力が2択や3択で提示され、選択をしながら進んでビルドを組んでいくことになるのですが、これが程よいランダム性とプレイヤーへの選択を提供していて良いです。なかなか来て欲しい能力が来なくて思い通りのビルドにならない場合もあれば、たまたまめちゃくちゃ強いビルドが出来たり。偶然強いビルドが出来たときも死んだら初めからやり直しなので、過度にぬるくなったりせず一定の緊張感が持続するのもいい感じです。多彩な武器やビルドや途中で死んでもその度にストーリーが進行するのも合わせて繰り返し遊ぶモチベーションが続きやすく、そうして繰り返し挑戦しているうちに自分がこのゲームを上手くなっていっている*1と成長を感じられる作りになっており、仕組みとしてよく出来ているなあと思います。たのしい。

 

ところでこのゲーム、2020年のTGAでゴーストオブツシマやラスアス2といった所謂AAAゲームとともにGOTYにノミネートされるなど賞レースでも奮闘していました。従業員がわずか20人のインディージョーンズスタジオで大作と肩を並べているわけで、制作スタッフはさぞ重労働をしていたりしたのかと思いきや、本作制作のSupergiant Gamesは従業員に休暇を義務付ける制度があるなど労働環境的にはかなりクリーンだったようです。私はラスアス2を傑作だと思ってますが、何年も前から労働環境の劣悪さを批判もされてきたにも関わらず、発売延期とスタッフへの重労働を行いながら作った作品はいくら出来が良くっても”ベストディレクション”には値しないと思いますし、TGA2020のベストディレクションはHADESが取るべきだったのではないかと未だに思ったりしています。

Subnautica

未知の海洋惑星で食料の確保や資源を集めて道具や設備のクラフトをしながら惑星脱出を目指す海洋オープンワールドサバイバルゲーム

このゲーム、検索しようとするとサジェストに「サブノーティカ 怖すぎ」と出てくることからもわかるようにかなり怖いです。ちょっと深いところまで潜るとすぐに視界が悪くなりますし、遠くから巨大な敵性生物の鳴き声が聞こえてきたり、水中洞窟や人工物の残骸の中を探索するときは閉塞感で息が詰まります。ただそれだけに自分がクラフトして作った基地に帰ってきたときの安心感はひとしおですし、自然と愛着も湧きます。

ゲーム序盤に浅瀬に作った基地。

 

ゲームプレイのサイクル的にも探索→基地に帰ってきて一休みという緩急がちょうどよいです。

こうやってゲキヤバ生物から命からがら逃げ回ってるのがたまらなく楽しい。

 

敵対的な生物や無害なもの、友好的なものまで、出てくる生物のデザインが非常にいいです。上の動画のリーパーリヴァイアサンは特に秀逸だと思います。環境ストーリーテリングを多用したストーリーも良かったです。

基地や装備、資源が充実してきてイキってる時が一番楽しい。


ただこのゲーム、不具合やパフォーマンスの不安定さなどの問題が無視できない程度は大きかったです。落ちてるアイテムが時間経過で消えたりしないようで、拠点として作った基地の近くの熱水噴出孔に魚が突っ込み熱で死んで、異常な量の死体が溜まってその周辺だけ動作が重くなるといったことが起きたりしました。

極限環境で活動可能なパワードスーツを作ってまず最初にやったのが
熱水噴出孔に溜った腐った魚の回収というのおかしいと思う。

PS4版でプレイしていたのですがアプリケーションエラーで数時間分の作業がパーになったりすることも頻発して、ゲーム終盤のイベントではかなりノイズでした。こまめなセーブ大事。

2022年の12月にアップデートが来たようなのでその辺の問題に関しては、もしかたら改善されているかもしれません。しらんけど

automaton-media.com

ELDEN RING

2022年の個人的GOTY。広大なマップの探索と骨太な戦闘とロールプレイがとっても楽しい。個々の要素を見るとゲームとしての新規性は殆ど無いと思うんですがクエスト受注してマップのマーカー追って……みたいなオープンワールドゲームが沢山ある中でここまでプレイヤー自身による探索に特化した作りのオープンワールドは今まであまり無かったような気がします。気がするだけかもしれない

如何にも何かありそうなランドマークがあちらこちらに見えて探索がたのしい

オープンワールド化もどうなるかと思ってましたが倒せない強敵にぶつかって先に進めないとなってもひとまず無視して他のエリアを探索したり、ダンジョンを攻略したりと気分転換ができ、そうこうしているうちにレベルが上ったり強い武器を手に入れたりしてさっきまで勝てなかった敵をあっさり倒せるようになったり、オープンワールドとソウルボーンの相性が思いの外に良かったです。マップもあまり詳しく教えすぎず適度に不親切、それでいてマップ上の何かありそうなところに行くと実際に何かあるという感じで自分で探索するのが楽しく程よく突き放してくれるのが好印象。

エルデンリングのマップ。
自分で設置できるマーカーに関しては視認性が悪すぎるので種類によって色を変えるとか要改善だと思う。

ゲーム序盤でワールドマップを見て「全体マップの広さはこれくらいね。ふーん」と思っていたら新しいエリアのマップを手に入れた瞬間全体マップの大きさがぐんっと広がったり、地下に行ったらマップが2層構造になったりしてゲーム全体が想像以上に巨大だとわかる演出がかなり良かったです。ボリューム感に関してこんなものかと侮っていたら実は序盤も序盤の狭い範囲しか見ていなくて全体としてはめちゃくちゃ巨大だった驚き、底の知れなさとでもいいますか。立体的で入り組んだレベルデザインのダンジョンも非常に良く出来ており、ショートカットが開通して「そことそこがつながっていたのか!」となるようなメトロイドヴァニア的な楽しさもあります。ただ、英雄墓のチャリオットを避けるのがゲームとしてまったく楽しくないのとよく似た構造の部屋が複数並んでいてそれを行き来する仕掛けのダンジョンが2回出てくるあたりはどうかと思いました。後者は一回だけなら良かったのですが。

オンラインのメッセージ機能も良いです。自分の残したメッセージに高評価をもらえると嬉しいですし、ユーモア溢れるおもしろメッセージがあったりしてついつい読んでしまいます。

ここまで説得力のある「やめておけ」は狭間の地広しといえどなかなかないと思う。

ストーリーに関してはまあ正直よくはわかりません。が、よくわからないなりに考えるのがすごく楽しいです。「昔のドット絵のほうが想像が膨らんだ」ということをゲームに関して言う人がよく居ますがエルデンリングのストーリーテリングはまさにそういった感じで、モザイクのように断片的で霧がかかったようにぼやけており全体像はなかなか見えず、しかしそれ故に想像が膨らむという独自の味わいがあります。フレーバーテキストや環境ストーリーテリングの巧みさも相まって断片から全体を想像するのが楽しいです。

コントローラーを置いている最中も「トロルのお腹がえぐれたようになっているのはトロルは元々巨人戦争において巨人勢力から黄金樹側に寝返った裏切り者なので、以前は火の巨人と同じように火を宿す目がお腹にあったけど火は黄金樹における禁忌なので黄金樹側への忠誠の証として目をえぐり出したのかな……(早口)」みたいなことを考えがち

エルデンリング発売に際して『ソウルシリーズの何が新しかったのか?』みたいな記事を見かけた記憶がありますが、ソウルボーンの死んで覚えることを前提としたゲームデザインが新しかったかというむしろ逆なのではないかと自分は思っています。昔のアクションゲームやアーケードゲームって死んで覚えるの前提の難易度だったとよなあと。例えばスーパーマリオブラザーズは初見で一発クリアできるようには作られておらず、何度も繰り返し死んで対処法を覚え、時にはあとちょっとだったのにという悔しさをバネに頑張ることで初めてクリアできるようになっており、それによって達成感を得たり、周囲にそれを自慢したりという構造があると思います。ソウルボーンといったフロムソフトウェアのゲームのデザインにもそれに近いものがある気がします。そういうむしろアクションゲームとしては原初的な設計思想で作られていつつも、多彩な攻略法やレベル上げといった救済措置が用意されていたり、死んだ際も理不尽とはならない絶妙なバランスで現代的に作られているのがフロムゲーの良いところかと。

フロムソフトウェアのゲームというと良く「死にゲー」と言って高難易度だと思われがちですが実際にはトライアンドエラーを前提としたゲームデザインになっているだけで、ゼルダの伝説を普通にクリア出来るくらいのプレイスキルがあれば十分クリア出来るようになっていると思いますし、レベルを上げて殴るといった手段も用意されているので不要に高難易度かのようなイメージを作るのは良くないのではないかと思います。全体的な不親切さもプレイヤーを信用しているがゆえですし、難易度に関して懸念してフロムゲーを避けている人が居たらとりあえず本作を遊んでみて欲しいなと思います。多少スパルタ方式かも知れませんがクリアだけなら理不尽な高難易ということはないと思うので……。

Far Cry 6

UBIソフトオープンワールドFPS。フリーウィークエンドで遊びました。面白かったです。

こういうふうにヘッドショットが決まるととても気持ちいい。ヘリからスカイダイビングして上空から敵陣に侵入して暴れたり、スナイパーライフルでステルスプレイしたり、リゾルバー武器やスプレーモといった特殊武器を使って敵のヘリや戦車を蹴散らしたり、とにかく楽しいです。独裁政権のくそったれを銃で撃つのは楽しいというプリミティブな快楽があります。ボリュームもすごく永遠に革命を起こせそうです。そうやって「ゲリラ活動は……たのしい!」くらいのノリでこれといった思想も意思もない主人公が周りに流され良いように利用される形で革命を成就させてしまったので、ストーリークリア後のヤーラはろくなことにならない気がしますが、それはひとまず置いておいて……。

Far Cry 6

その主人公ですが本当に何も考えてなさそうでありつつ、どこか憎めない良いキャラをしてます。

ストレンジャー・シングス』コラボミッションの一幕。終始こんなノリ

 

本作では前作のファークライ5と違い主人公がよく喋るのに加え、カットシーンやゲリラの拠点など一部の非戦闘エリアではカメラが三人称視点になったりします。GDC 2023の公演によるとこれは今回の敵が国家であり、単なる一人のゲリラにすぎない主人公と最終的に倒すべき一国の大統領を物語の中で頻繁に絡ませるのが難しいという課題を解決するための工夫らしいです。普段からカットシーンが三人称視点なので、主人公がその場に居ない大統領のシーンに違和感なく場面転換できると。

www.4gamer.net

この試みは上手く行っていると思いますが、一部エリアで三人称視点を採用するのであれば車や馬などに乗っている時も三人称視点に出来たら良いのになと思ってしまいました。視界が狭くとても操作しづらかったので……。

 

エルデンリング発売時にエルデンリングのUI、特にマップやクエストリストまわりが不親切すぎではないかという話題があり、その流れでごちゃごちゃし過ぎなUIのゲームとしてUBIソフトのゲームが槍玉に挙げられたりしていました。確かにクエスト等の発生場所や目的地、アイテムなどがびっしり並んだマップは煩雑な印象を受けますし、クエストマーカーを追いかけるだけのゲームは作業感お使い感が出てしまいます。かといって戦闘がメインのオープンワールドFPSでクエストマーカーが存在せずぐるぐると探索をさせられたらかなりのストレスでしょうし、探索に重点を置いたオープンワールドRPGはお使い感が出てしまうのでマーカーないほうが良いと思います。ビデオゲームに唯一の絶対的な正解は無いですし、ゲームプレイのどこに重点を置くかという問題であって単純にどちらのほうが良い悪いではない気がします。

星のカービィ ディスカバリー

初の3Dとなった星のカービィ最新作。主にエルデンリングの合間に休憩がてら遊んでました。カービィがとにかくかわいい。

カニのフィギュアを見ているカービィ。かわいい

狭間の地を長時間歩き回って疲れた時の癒やしでした……。が、クリア率100%等を目指そうとするとなかなかに骨太で特にミニゲームのタマコロカービィがきつかったです。

レベルを上げて殴るといった手段が取れないので、正直エルデンリングのマレニアより苦労した気がします。ジャイロ操作のミニゲーム、切実に滅んで欲しい。

かわいい

バイオショック コレクション

随分と前にセールで買って数年単位で積んでいたのを『リセットを押せ』でケン・レヴィンの話を読んだのをきっかけにプレイしました。

奇跡的に今の今までネタバレ踏んでいなかったので、踏む前にプレイできて良かったです。

BioShock

「お使いのようにゲームの側から出された指示をこなし続けるプレイヤーは意思のない操り人形と同じ」とビデオゲームの当たり前のルールを逆手に取ったストーリーが面白いなと思った反面、中盤のどんでん返し以降もそれまでと同じような形でゲームが進行するのはもう一捻り欲しいなと思ってしまいました。あとローカライズがとても丁寧で良かったです。

BioShock 2

一作目のめちゃくちゃ丁寧なローカライズが嘘みたいな出来でちょっとびっくりしました。本編の出来も正直パッとしませんでしたがDLCミネルバズ・デンがめっちゃくちゃに良かったです。一人称視点でストーリードリブンのリニアなゲームを作るんだったらこういうことやって欲しいというのが全て詰まってました。

BioShock Infinite

めちゃくちゃ面白かったです。とにかくストーリーが本当に良く出来ている。よく「記憶を消してもう一度プレイしたい」と言ったりしますが、ここまで話の構造が良く出来てるとすべてを知った上でもう一度プレイしたくなります。もし未プレイでこれを読んでいる人が居るならつまらないところでつまらないネタバレを踏む前に自分でプレイするべきです。

エリザベス

ストーリー上の重要キャラであるエリザベスも非常に良かったです。「ビデオゲームで戦闘中にプレイヤーが守らないといけない女性キャラは女性は守られるものというステレオタイプであると同時にキャラにヘイトが行きがちであんま良くないよね」みたいな議論があったなと遊んでいて思ったりしました。バイオショックインフィニットとラストオブアスが同じ年に出たという事実には興味深いものがあります。どちらも主演がトロイ・ベイカーですし。

 

ただ、デイジー・フィッツロイ周りのストーリーはちょっとどうかなとも思いました。人種差別的な体制に抗う反体制組織のリーダーが実は目的のためには手段を選ばず子供も平気で手に掛けるようなやつでどっちもどっちというのはどうかあ、と。現実世界の差別や迫害をモチーフにしておきながら「暴力的手段に手を染めた時点で両方悪いしどっちもどっち」みたいな結論に持っていくのには、うーんとなってしまいました。「抵抗するためとは言っても暴力はいけないし、暴力に訴えた時点でどっちもどっち」というのはものすごくナイーブな外野の意見でしかないよなと思わせる現実世界の戦争に関するニュースがこの一年溢れていたわけでね……。*2

Disco Elysium - The Final Cut

めちゃくちゃ面白かったです。2022年2番目に良かったゲームを聞かれたらディスコエリジウムの名前をあげます。まずこのゲームがこれだけ丁寧に日本語ローカライズされた発売されたこと自体がすごいし、本当にありがたいことです。このゲームは大量のテキストを読むのが一番の魅力なのですがなんとゲーム全体でハリーポッター全巻以上の文章量があるらしく、それがこのクオリティでローカライズされて4000円は安すぎて本当にもとが取れてるのか心配になってきます。

ビデオゲームで訳注が入ってるの初めて見ました。

それ自体が作品の主役と言えるような独特の設定の街と複雑な政治的事情が絡んだ殺人事件を追う刑事を主役とした物語ということでプレイしていてチャイナ・ミエヴィルの『都市と都市』を連想したのですが、どうも実際にチャイナ・ミエヴィルから強い影響を受けているのだそう。

作品世界の歴史や政治、文化、思想、技術大系等の設定の作り込み方がすごく、"重厚な世界観"ってまさにこういうことを言うんだろうなという感じで、これだけ聞くと「制作者の独りよがりか?」と身構えそうなものですが、これが自身や世界に対する一切の記憶を失った主人公へのロールプレイに寄与しているのが上手いです。また世界観自体は重厚かも知れませんが、そこで描かれるのは”壮大な冒険譚”ではなく、繁栄も革命も戦争もとうの昔に過ぎ去って忘れられた街を舞台にデロデロに溶けた記憶喪失の酔っぱらい刑事を主人公とした殺人事件の犯人探しです。

本作の主人公

主人公の頭の中には24の人格が同居しており、彼らが常に目まぐるしく脳内会議を繰り広げます。各人格にはスキルポイントを割り振ることができ、その割り振り方次第で主人公が頭脳派刑事になったり何でも力で解決しようとする脳筋刑事になったり、会話中に相手の嘘を見抜ける様になったりネクタイが喋りだしたりするようになります。

喋るネクタイ。
ネクタイの一連のイベントは非常に感動的なので進めておくことをオススメします。

また本作はTRPG的なゲームシステムになっており、能力が変化に応じてゲーム中に発生するダイスを使ったスキルチェックの成功率が上がったり会話での選択肢や展開が変化します。

捜査中スキルチェックが発生する

このスキルチェックシステムがなかなか面白く、低確率のスキルチェックが序盤から成功し物語が急展開することがあったり、逆に成功率の高いスキルチェックを失敗することもあります。スキルチェックを失敗してもゲームオーバーというわけではなく、中には失敗したことで新たなヒントが得られたり、思いもよらない展開が発生したりします。

主人公は能力だけでなく思想的にもプレイヤーの選択次第で支配階級を抹殺したがる共産主義者から金の亡者のウルトラリベラル*3、差別主義者にも倫理主義者にもなれます。そんな主人公の操作の相棒がキム・キツラギです。

キム・キツラギ警部補

このキツラギさんが本当にいいキャラしてます。非常に真面目で仕事熱心、それでいて車やメカ好きの一面があり、主人公がどんなに奇抜な行動をとっても見捨てず、差別的な言動を取ったら自省を促してくれるこのゲームのバランサーです。彼がおらずただただ差別的な選択もできる自由度の高いだけのゲームだったらこの作品はここまで面白くなってなかったと思います。

このゲームの良心

 

余談ですが自分はSwitchで本作をプレイしたのですがSwitch版はあまりオススメしません。普通に遊べますが最適化不足なのかそもそものハード性能が足りないのか一部シーンが超ハードコアです。

Nintendo Switchは良い製品だと思いますが「ゲーム機の性能はSwitchで十分」嘘っぱちもいいところです。

Pokémon LEGENDS アルセウス

野生動物を乱獲してお金を稼ぐゲームです。

ポケモンを捕まえて報告するとお金がもらえる。

これはこのゲームに限らずポケモンというIP自体が抱える問題な気がしますが、ポケモンとの絆みたいなことを言いつつポケモンを大量に乱獲したり戦わせたりするというゲームデザイン上の仕組みになんとなく居心地の悪さを感じます。個人的にポケモンのストーリーに求めているのは子供が一人でポケモンと一緒に旅をして冒険をするようなジュブナイルものであって、本作のような異世界転生ものではないんだよなぁ……とも思います。

「共存共栄」と言ったかと思ったら「どんどん捕まえろ」と言ってきたりする。

シリーズ初のアクションRPGということでいちいちコマンド式のバトルに入らなくても、スニーキングでこっそり背後から近づきモンスターボールを投げて捕まえたり、戦闘になってもそのまま走り去るだけで文字通り「逃げる」ことが出来るようになっているあたりは快適で良かったです。クラフト用のアイテムを収集するのもポケモンを捕まえるのもバトルをするのも「モンスターボールを投げる」という一つのアクションに集約してるのもグッド。

一方で描画距離が非常に短く、せっかくオープンで広いフィールドが舞台になったのに飛行ポケモンに乗って空の上から野生のポケモン探して回るといったことをしようとした時に支障が出ているのは良くなかったです。

高所からの落下ダメージの存在により不意の事故死やポケモントレーナーとのバトルで相手が複数体同時にポケモンを出してくる等ゲームとしての楽しさに繋がらないしなんでそんな仕様にしたのか理解に苦しむ部分も多く、お使い感の強い大量のクエスト等トータルで見るとうーん……という感じでした。

1対3は完全にズルだと思う。

スプラトゥーン2 オクト・エキスパンション

3の前にやっていなかった2のDLCをやろうと思い3発売前後に遊んでいました。

「撃ち合いだけではなく塗った面積が勝敗を左右するのでエイムが下手なゲーム初心者でも塗ることでチームに貢献出来るのが画期的」という様なシュータージャンルとしてゲームデザイン方面の特異性を言及されることが多い印象のスプラトゥーンですが、そもそもシュータージャンル以前にアクションゲームとしてめちゃくちゃ触り心地が良いんですよね、このゲーム。ばしゃばしゃインクを発射して塗ったところをイカ状態でスイーッと泳いでインク溜まりからインク溜まりへぴょんと跳ねたり、キャラを適当に動かしてるだけでもかなり気持ちいい。チュートリアル的な側面の大きかった本編の一人専用モードと違い、このオクトエキスパンションはそんなアクションゲームとしての面白さが遺憾なく発揮されつつ、DLCだけあり的確なキャラコントロールを求められるかなり骨太な難易度となってます。

 

本編のナワバリバトルが最先端のイカしたイカたちのストリートスポーツを舞台にイカたちのファッションや流行を描いたものだったのに対して、オクトエキスパンションは地下世界を舞台に過去の流行語や時代遅れの懐かしいもの、ヴェスパーウエーブ等のインターネットカルチャーをモチーフとして多用し、イカに憧れるタコを主人公として地上への脱出が描かれます。

懐かしい玩具だったり

黎明期のインターネット風チャット画面

GCも今やノスタルジーの対象

バブルテープガムとか懐かしくて涙が出てくる。

 

そうした懐かしいモチーフを多用した上でラスボスとしてかつての地球の支配者「ニンゲン」の残した遺物が出てきて、地球上での生存をかけた”ナワバリバトル”が始まるというラスボス戦の演出がとても良かったです。

ニンゲン

あと心のなかの3号も倒しました。いえーい

スプラトゥーン3

鬼!悪魔!時間泥棒!イカゲーム!

こんなエントリを4月中旬に書いてるのもだいたいこのゲームせいです。

いまマイニンテンドーアプリを確認したら現時点でプレイ時間が450時間でした。

同様に自分のスプラ1スプラ2のプレイ時間を調べてみたら
それぞれ50時間以上30時間以上でした。

自分は元々PvPみたいなオンラインコンテンツがあまり好みではなく、スプラトゥーンシリーズも世界観や音楽、アート、ゲームデザインは好きなもののそこまで長時間プレイするという感じではなかったんですが3はドハマリしました。で、なんで3でここまでハマったかというと3の全体的なデザインがライト層やエンジョイ勢、ゲームがあまり上手くない人にもストレスなく楽しんで遊んでもらえるように作られていることが大きい気がします。例えば試合に負けた際の演出も2まではどんよりとしたBGMで負けたチームのキャラクターが悔しがる様子を見せられたりしていましたが、今作では自分のチームが負けても勝ったチームが喜んでる様子が流れるようになっています。また、試合の勝ち負けやキルレシオ等に関係なく結果画面で塗った面積や移動した距離、インクの消費量などとにかく試合中の何かしらの行動を表彰で褒めてくれます。

頑張ったで賞

マッチング中の待機時間に射撃場でキャラを動かせるようになったのも地味ながら大きな変化です。オクトエキスパンションでも言いましたがこのゲームはアクションゲームとして触り心地が良いので、待機中にキャラをすこし動かせるだけでも待たされてる感がまるで違ってきます。前の試合で一緒だった人とマッチング中に緩くコミュニケーションを取れたりするのも楽しいです。

 

バンカラマッチという所謂ランクマッチも前作と違い降格することがなくなったので前作よりもカジュアルに楽しめるようになりました。このあたりの仕様はランクと実際の実力が乖離することがあるので賛否がありますが、降格がなくなったことである程度の段階まではやればやるだけランクを上げることが出来、非ガチ勢が目標とモチベーションを維持しやすくなったのではと思います。

 

スプラトゥーン3は縦長構造のステージが多く、裏取りがしにくかったり長射程の武器が有利になっているという批判がありますが、これもゲーム初心者向けの調整の結果ではないかと思います。横に広くて裏取りするルートが複数ある複雑な入り組んだステージはどこから攻めるか?敵はどこから攻めて来るか?という読み合いや戦略性が楽しめる一方で、ゲーム初心者からすると前の敵だけじゃなくて後ろや横からの奇襲を警戒しないといけないのは考えないといけないことが多すぎるわけです。実際、自分はスプラトゥーン2を遊んだ時、よく分からず視界の外から攻撃を受けて一方的ににやられることが多くすぐに遊ぶのを辞めてしまいました。

 

スプラトゥーンシリーズのプロデューサー野上恒氏が日経新聞のインタビューでスプラトゥーンシリーズがこれだけ受け入れられた理由として

わかりやすいビジュアルとルールに落とし込めたことが大きい。シューティングゲームは仲間同士で『前線』を把握するのが難しいが、スプラは地面に色を塗り合うゲームなので、どこが前線なのか把握しやすい。(初心者が)画面を後ろから見ているだけでも一目でどんなゲームかなんとなく想像できる

と語っています。

この発言を踏まえるとスプラトゥーン3のステージが過去作に比べて縦長構造になっているのは「初心者が前線を把握しやすいように、あえて裏取りがしづらくシンプルな縦長のステージにしている」「より初心者向けに調整している」というのが理由ではないかと考えられるわけです。

www.nikkei.com

初心者お断りのゲームデザイン、バランスになると裾野が狭まり、プレイ人口の縮小と過疎化による衰退を招きかねません。また、ビジネス的な部分を考えるとこのゲームは課金要素がないので少数の上位勢に合わせるよりもボリュームゾーンであろう低レート帯のエンジョイ勢、カジュアルに楽しんでいる層に合わせた調節をして、より多くの人に有料オンラインサービスに長期間入ってもらうことが望ましいわけです。ウデマエS+以上のプレイヤーなんて全体から見ればかなりの少数でしょうし。そうした視点で考えるとシーズン制を採用して新武器・新ステージ追加のスパンが長くなったのもなんとなく理由が見えてきます。新シーズンの開幕を武器やステージの追加新しいイベントで大々的に盛り上げてより多くの人に細く長く遊んでもらおうという方針がおそらくあるわけです。

 

……とまあPvP周りに関してわかったようなことを言いましたが最近は協力モードのサーモンランばかりやってます。あとオクトエキスパンションに引き続き一人用モードがストーリー、演出ともにめちゃくちゃ良かったです。DLCの『サイド・オーダー』が楽しみ。

The Good Life

『レッドシーズプロファイル』のクリエイターSWERY氏の最新作。

借金を抱え途方に暮れるジャーナリストのナオミ・ヘイワード。モーニングベル通信から「イギリスのある田舎町の謎を解き明かせ」という依頼を受け、彼女がやってきたのはニューヨークから遠く離れた地、“レイニーウッズ”。カメラを手に調査を始めたナオミは、夜になると住民たちがネコやイヌに変身するという奇妙な現象に遭遇する。そして、その謎を追う中で巻き起こる殺人事件……。さあ、“レイニーウッズ”の真実を解き明かそう。

あらすじの通りオープンワールドの海外の田舎町で殺人事件を追うアドベンチャーゲームということで方向性としてはレッドシーズプロファイルと近いです。このあたりのやろうとしていることというかコンセプトは雰囲気といいかなり良いと思います。ややトンデモ展開気味のストーリーややたらと癖の強いキャラは好みが分かれそうではありますが自分は楽しめました。主人公がフォトジャーナリストということでカメラで写真を撮りSNSにアップすることでお金を稼ぐシステムがあるのですが、これも思いの外作り込みがしてあって面白かったです。

一方、クエスト周りはかなり不親切です。リストで受注中の一つのクエストしか進行させることが出来ず、複数のクエストを同時進行出来ない仕様になっています。そのためクエスト達成条件を満たしていて当該人物に話しかけてもクエスト完了とならず、わざわざオプション画面で受注中にしないといけません。そのうえ受注中にした途端クエストに関連するキャラが別の場所に再配置される仕様があるので、たまたま町で以前受けたクエストの依頼主を見かけ、クエストを完了させようと受注をした次の瞬間そのキャラが目の前から消えたりします。

やたらと難しいミニゲームがあったり、クラフト用のアイテムの必要数が狂った数になっていたり、犬や猫に変身したり移動用の羊を呼び出したりする度に暗転が挟まれる等、ゲームとして細かい部分で結構ストレスフルでした。特に服やバッグなどの装備はそれなりの種類が用意されておりゲーム内でファッションが楽しめるようになっているのですが服を作る際の要求素材が面倒くさすぎてほとんど初期服でゲームを終えてしまいました。せっかく種類があるのに勿体なかったです。

とはいえコンセプトと雰囲気は抜群に良く、ストーリーやキャラクターも他のゲームでは味わえないSWERY作品独特の魅力があり、トータルとしては面白かったです。

Subnautica Below Zero

サブノーティカの続編。

今作では前作と同じ惑星の寒冷地帯に舞台を移し、海の中だけでなく前作にはなかった雪原等の広い陸地といったロケーションも登場します……が、この寒冷地&陸地という舞台が正直あまり面白くなかったです。まず陸地での長距離の移動に使う乗り物としてパワードスーツとホバーバイクがあるのですが前者は画面の揺れが酷く、後者は操作感が独特過ぎてゲーム酔いが酷く探索どころではなかったです。

海中も今作のどこに行っても寒そうな氷の世界より前作の暖かそうな浅い海から真っ暗な深海というほうがロケーションの変化にも富んでおり、深海から戻った時の安心感という意味でも前作の明るく温暖な海のほうが良かったような気がします。またフィールドの真ん中に墜落した巨大宇宙船オーロラ号があった前作のほうがオーロラ号を基準にして自分の現在地が把握しやすく、プレイしているうちに自然とゲーム内の地形を覚えることが出来たような気がします。総じて前作のほうがレベルデザインが良かった印象です。

また前作ではストーリーを進め、救難信号を追っているうちに自然とクラフトアイテムの設計図が集まりましたが、今作では大容量酸素ボンベの前に超大容量酸素ボンベを見つけたりゲームクリアまで大型水槽の設計図を見つけられなかったりしました。前作のほうが設計図の入手場所が複数あったり、ストーリー進行上で立ち寄るエリアに設計図が置かれていたり誘導が丁寧だった気がします。

 

一方で基地の建設は相変わらず楽しかったです。

基地外

全球ガラス張りのシャワー&トイレルーム

内装

窓を覗いたら外にヤバそうな生き物が居たり……

全体的に見たら面白かったですが前作と比べてしまうとどうにも見劣りするというのが正直な感想です。今作は元々前作のDLCとして作っていた経緯があるようなのでボリュームの少なさ等の不満点もその辺に起因するのかなと思ったり。

 

 

 

 

 

以上の他にデスストランディングの2周目プレイを年末年始にやったりしていたのですが、全体的に長くなったので分割して次のエントリに続きます。

nix-51.hatenablog.com

*1:実際には闇の結晶を消費して得られる恒久的なアップグレードの効果も大きいと思う

*2:このあたりは当時から批判があったようでDLCで後付け設定っぽいエクスキューズが入ってました

*3:現実世界でいうネオリベラルに相当すると思われる政治思想